C型肝炎ウイルス抗体
专利摘要:
本発明は、C型肝炎ウイルスE2タンパク質に結合するヒト化抗体及びその断片と、その使用方法とに関する。 公开号:JP2011505867A 申请号:JP2010538953 申请日:2008-12-17 公开日:2011-03-03 发明作者:デイビッド;ジー. ウィリアムズ,;アーヴィンド パテル,;デイビッド;ジェイ. マシューズ, 申请人:メディカル リサーチ カウンシル テクノロジー; IPC主号:C12N15-09
专利说明:
[0001] 関連出願とのクロスリファレンス この出願は、出典明示によりその全体がここに援用される2007年12月17日出願の米国仮出願第61/006066号の優先権を主張する。] [0002] 発明の分野 この発明は、親マウスモノクローナル抗体のHCV感染に対する広い範囲の阻害効果を保持する治療用ヒト化抗体及びその断片とその使用方法に関する。] 背景技術 [0003] HCVは、フラビウイルス科に属する陽性一本鎖RNAウイルスである。それは非A型非B型ウイルス肝炎の主要な原因である。HCVはおよそ2億人の人々が感染しており、現在の推定によれば、3百万もの人々が毎年新たに感染していることが示唆されている。感染者のおよそ80%がウイルスの除去に失敗し;慢性の感染により、重篤の慢性肝疾患、肝硬変及び肝細胞癌になる場合がしばしばある。慢性感染に対する現在の治療法は効果的ではなく、予防及び治療ワクチンを開発するという急を要する必要性が存在している。 RNA依存性RNAポリメラーゼのエラープローン性とインビボでの高い複製率のために、HCVは高度の遺伝的変動を示す。HCVは6種の遺伝学的に区別される遺伝子型に分類でき、ヌクレオチドレベルでそれぞれおよそ30%及び15%異なる少なくとも70のサブタイプに更に細分類される。ワクチン開発のための重要な挑戦は、ウイルス遺伝子型及びサブタイプに保存されている保護エピトープを同定することである。この問題は中和反応の自然の標的であるエンベロープタンパク質が最も可変性のタンパク質の二つであるという事実によって複雑化されている。] [0004] エンベロープタンパク質El及びE2は、細胞結合及び移入の原因である。それらは、N末端外部ドメインとC末端疎水性膜アンカーを有するN結合グリコシル化膜貫通タンパク質である。インビトロの発現実験では、E1及びE2タンパク質が非共有結合ヘテロ二量体を形成することは示され、これがウイルス表面上の機能的複合体であることが提案されている。効率的な培養系がないため、ウイルス移入の正確な機構は知られていない。とは言うものの、単離された一次肝細胞及び細胞株への移入には細胞表面レセプターCD81及びスカベンジャーレセプタークラスB1型(SR−B1)との相互作用を必要とするが、これらのレセプターだけではウイルス移入を可能にするには十分ではないとの多くの証拠がある。 現在の証拠から、細胞媒介性免疫が急性感染におけるウイルス複製のクリアランス及び制御において中心をなすことが示唆される。しかしながら、動物感染のような感染の代替モデル及び細胞及びレセプター結合アッセイは急性及び慢性双方の感染における抗体の潜在的な役割にハイライトを当てた。驚くことではないが、中和抗体はリニアエピトープと立体構造的エピトープの双方を認識する。広い中和能力を示す抗体の大部分はE2内の立体構造的エピトープに対するものである。保存された立体構造的エピトープを認識する抗体の誘導はワクチン設計に極めて関連しているが、可変領域は免疫優性であると思われるので、これは困難である可能性が高い。一つの免疫優性リニアエピトープはE2の第一の高頻度可変領域内に存在する(HVR1)。保存されたHVR1ミモトープの使用が制限された特異性の問題を解消するために提案されているが、このアプローチが成功するかどうかはまだ分からない。] [0005] HVR1の直ぐ下流の領域は多くのエピトープを含んでいる。残基412−423を包含し、モノクローナル抗体AP33によって定まる一つのエピトープは、CD81と、可溶型E2、E1E2及びウイルス様粒子を含むE2のある範囲の提示の間の相互作用を阻害する。Owsianka A.等 J Gen Virol 82:1877-83 (2001)。 国際公開第2006/100449号は、AP33と命名されたモノクローナル抗体がHCVの6つの既知の遺伝子型1−6の各々に結合しそれを中和することができることを教示している。従って、AP33が標的とするエピトープはHCVの遺伝子型1−6の全てと交差反応性であることが推定され、それが抗HCVリガンドの標的で、また抗HCV抗体を生産するための免疫原であることを示している。 AP33はマウス抗体であり、よって複数投与に対して治療的に使用される場合、ヒト患者においてヒト抗マウス抗原反応(HAMA)を生じせしめる可能性がある。従って、AP33の交差反応性を共有するがヒト患者において減少した抗原性を有する抗体に対する必要性が存在している。] [0006] 本発明は、HCV感染に対して広範囲の阻害効果を保持する改善された治療的ヒト化抗体に関する。AP33のヒト化は技術的に問題があることが示され、ヒト化AP33の生産が次の開発に至った。 AP33モノクローナル抗体のヒト化中に、本発明者等は、ヒト化可変軽鎖ドメインの乏しい発現レベルに関する問題に遭遇した。マウス軽鎖にはヒトオルソログが存在しない。L1ループはヒトカッパ鎖に一致させることができず、これは通常はヒト化過程の重要な成分である。潜在的なスプライシング部位変異の除去及びリーダー配列の交換のような可変軽鎖ドメインに対する幾つかの修飾にも拘わらず、これらの修飾の何れも、たとえかかる修飾が過去では発現レベルの改善に効果的であると報告されていてもバックグラウンドを越える発現レベルの回復には効果的ではなかった。驚いたことに、発明者等は、ここでRK2bと命名された可変軽鎖ドメインを最終的に同定したが、これはよく発現するだけでなく、良好な軽鎖結合活性も有している。] [0007] 本発明者等はまた47位におけるWの保持がヒト化可変重鎖ドメインの最適な活性のために必要であることを発見した。これは、マウス(キメラ)抗体において47位のアミノ酸がW(ヒト残基)かY(マウス残基)かどうかは重要であるとは思われないので、驚くべきことである。ヒト化可変重鎖ドメインでは、47位のアミノ酸は最適な活性のためにはWでなければならない。直接比較すると、他の重要なフレームワーク残基の全て、つまり、副尺及び正準残基は、最適な活性のためにはマウスドナー残基に変異される必要がある。 本発明者等は、ここに記載のヒト化抗体はHCV感染の阻害についてAP33と少なくとも同じほど効果的であることを驚いたことに更に発見した。通常は、抗体がヒト化されると、CDRを囲む環境を形成するマウスフレームワークのヒトフレームワークとの置換のために活性の低下が予想される。しかしながら、本発明では、マウスフレームワークの置換は活性の増加を生じた。有利には、本発明の抗体はヒト化に伴う利点(例えばヒト患者において免疫原性を低減させる)を有しているばかりでなく、HCV種に対する交差反応性を中和させるという広域特性を保持している。] [0008] 従って、第一の態様では、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:19、又は配列番号:20の何れかに記載のアミノ酸配列を含む又はそれからなるヒト化AP33抗体の可変軽鎖ドメインが提供される。ある実施態様では、ヒト化AP33抗体の可変軽鎖ドメインはC型肝炎ウイルスE2タンパク質に結合する。 第二の態様では、配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含む又はそれからなるヒト化AP33抗体の可変重鎖ドメインが提供される。配列番号3は、ヒトフレームワークに移植されたマウスCDRを表す。有利には、ヒトフレームワークは、マウスゲノム中の等価な位置に一致させるために、その位置30、48、67、71、78及び94の一又は複数での逆突然変異によって修飾される。 適切には、アミノ酸変異は置換、例えばS30T、I48M、V67I、V71R、F78Y及びR94Lである。上記において、マウス残基は二番目に、ヒト残基は最初に表される;よって、ヒト化手順において、残基30は元のAP33フレームワークではTであり、用いられるヒトフレームワークではSであり、逆突然変異されたヒト化抗体フレームワークではTである。] [0009] ある実施態様では、可変重鎖ドメイン配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18の何れかに記載のアミノ酸配列を含む又はそれからなる。ある実施態様では、ヒト化AP33抗体の可変重鎖ドメインはC型肝炎ウイルスE2タンパク質に結合する。 第三の態様では、発明の第一の態様に記載された可変軽鎖ドメインを含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片が提供される。 ある実施態様では、可変軽鎖ドメインを含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片はC型肝炎ウイルスE2タンパク質に結合する。ある実施態様では、ヒト化抗体断片は抗原結合断片である。 第四の態様では、本発明の第二の態様の可変重鎖ドメインを含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片が提供される。ある実施態様では、可変重鎖ドメインを含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片はC型肝炎ウイルスE2タンパク質に結合する。ある実施態様では、ヒト化抗体断片は抗原結合断片である。] [0010] 第五の態様では、軽鎖と重鎖を含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片が提供され、ここで軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域は上の第一及び第二の態様に定義された通りである。ある実施態様では、軽鎖の可変領域及び重鎖の可変領域を含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片はC型肝炎ウイルスE2タンパク質に結合する。ある実施態様では、そのヒト化抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される。ある実施態様では、ヒト化抗体断片は抗原結合断片である。 第六の態様では、可変軽鎖ドメインをコードする核酸配列が提供される。 適切には、可変軽鎖ドメインをコードする核酸配列は、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:39、又は配列番号:40の何れかに記載の配列を含む又はそれからなる。 第七の態様では、可変重鎖ドメインをコードする核酸配列が提供される。 適切には、可変重鎖ドメインは、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、又は配列番号:38の何れかに記載の配列を含む又はそれからなる。] [0011] 第八の態様では、ここに記載のヒト化抗体又はヒト化抗体断片をコードする核酸又はアミノ酸配列が提供される。 第九の態様では、ここに記載の核酸配列に相補的な核酸配列が提供される。 第十の態様では、ここに記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な核酸配列が提供される。 第十一の態様では、ここに記載の核酸配列を含むコンストラクト又はベクターが提供される。ある実施態様では、ベクターは、可変重鎖領域及び/又は可変軽鎖領域をコードする核酸に作用可能に連結された発現コントロール配列を更に含む。適切には、上記ベクターは発現ベクターである。ある実施態様では、第十一の態様のコンストラクト又はベクターを含む組換え細胞が提供される。ある実施態様では、細胞は真核生物細胞である。ある実施態様では、真核生物細胞はCHO細胞である。] [0012] 第十二の態様では、ここに記載の可変重鎖をコードするアミノ酸配列が提供される。 第十三の態様では、ここに記載のヒト化抗体又はヒト化抗体断片をコードするアミノ酸配列が提供される。 第十四の態様では、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19,又は配列番号:20の何れかに記載の配列を含むアミノ酸配列が提供される。] [0013] 第十五の態様では、(a)(i)先の態様に記載の可変軽鎖ドメインをコードする第一発現ベクターと可変重鎖ドメインをコードする第二発現ベクターか;(ii)先の態様に記載の可変軽鎖ドメインと可変重鎖ドメインの双方をコードする単一の発現ベクターの何れかで形質転換された宿主細胞を提供し;(b)各鎖が発現される条件下で上記宿主細胞を培養し;(c)場合によっては発現された鎖を組み立てて形成されるヒト化抗体を単離する工程を含む、ヒト化抗体の調製方法が提供される。 ある実施態様では、第八の態様の核酸を含む組換え細胞を、コードされた可変重鎖領域及び/又は可変軽鎖領域が細胞によって発現されるように増殖させ;発現されたヒト化抗体又はその抗原結合断片を回収することを含む、ヒト化抗体又はその抗原結合断片を製造する方法が提供される。ある実施態様では、該方法は、回収されたヒト化抗体又はその抗原結合断片を単離し、及び/又は精製することを更に含む。] [0014] 第十六の態様では、この方法によって得られた又は得ることができるヒト化抗体が提供される。 第十七の態様では、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、活性成分として、ここに記載されたヒト化抗体又はヒト化抗体断片を含有する薬学的組成物が提供される。 第十八の態様では、ここに記載のヒト化抗体又はヒト化抗体断片又は薬学的組成物の使用を含むC型肝炎ウイルス感染の治療及び/又は予防のための方法が提供される。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染は急性C型肝炎ウイルス感染である。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染は慢性C型肝炎ウイルス感染である。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染の治療は、ウイルス負荷及び/又はウイルス力価を低減させることを含む。ある実施態様では、該方法は第二の治療剤を投与することを更に含む。 適切には、C型肝炎ウイルス感染の治療及び/又は予防のための方法は、有効量のヒト化抗体又はそのヒト化抗体又は薬学的組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む。] [0015] 第十九の態様では、患者におけるC型肝炎ウイルス感染の治療及び/又は予防に使用されるヒト化抗体又はその断片又は薬学的組成物が提供される。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染は急性C型肝炎ウイルス感染である。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染は慢性C型肝炎ウイルス感染である。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染の治療における使用は、ウイルス負荷及び/又はウイルス力価の低減を含む。 第二十の態様では、患者におけるC型肝炎ウイルス感染の治療及び/又は予防のための組成物の製造におけるヒト化抗体又はその断片又は薬学的組成物の使用が提供される。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染は急性C型肝炎ウイルス感染である。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染は慢性C型肝炎ウイルス感染である。ある実施態様では、C型肝炎ウイルス感染の治療は、ウイルス負荷及び/又はウイルス力価の低減を含む。ある実施態様では、使用は、第二の治療剤を投与することを更に含む。] [0016] 第二十一の態様では、(a)ヒト化抗体又はその断片を提供し;(b)上記ヒト化抗体又はその断片を試験される薬剤に接触させ;(c)C型肝炎ウイルスの感染力の中和におけるヒト化抗体又はその断片の効果を改善又は亢進するかどうかを決定する工程を含む、C型肝炎ウイルスに対するヒト化抗体又はその断片の中和活性の効果を改善又は亢進する薬剤を同定するためのアッセイ方法が提供される。 ある実施態様では、C型肝炎ウイルスに対してヒト化抗体又はその抗原結合断片の中和活性の効果を改善又は亢進する薬剤を同定するためのアッセイ方法であって、(a)上記ヒト化抗体又はその抗原結合断片を試験される薬剤と接触させ、(b)該薬剤がC型肝炎の感染性を中和するヒト化抗体又はその抗原結合断片の効果を改善又は亢進するかどうかを決定する工程を含む方法がここに提供される。ある実施態様では、該薬剤は適切なコントロールと比較してC型肝炎ウイルスの感染力を中和するヒト化抗体又はその抗原結合断片の効果を改善又は亢進する。ある実施態様では、適切なコントロールは、薬剤の不存在下でのヒト化抗体又はその断片である。] [0017] 第二十二の態様では、この方法によって得られた又は得ることができる薬剤が提供される。 第二十三の態様では、試料中におけるC型肝炎ウイルスの存在を決定するための方法であって、ここに記載のヒト化抗体又はヒト化抗体断片の使用を含む方法がまた提供される。 適切には、該方法は、患者からの試料をヒト化抗体又はヒト化抗体断片に接触させる工程を含む。ある実施態様では、該方法は適切なコントロールと比較することを更に含む。ある実施態様では、適切なコントロールは、HCVを認識しない抗体である。ある実施態様では、適切なコントロールはHCVを含んでいることが知られている試料である。] 図面の簡単な説明 [0018] 図1はAP33ミモトープH6へのヒト化及びキメラ抗体の結合を示す。ヒト化重鎖及び軽鎖に対するキメラ抗体の相対的結合性を比較するために、COS7細胞に一連のキメラ及びヒト化重鎖及び軽鎖コンストラクトを形質移入し、上清を用いてミモトープH6への結合を比較した。キメラ(Vh/Vl)及びヒト化抗体RHb−h/RK2bc及びRHA/RK2bc又はヒト化及びキメラ抗体RHA/Vl、RHb−h/Vl又はVh/RK2bcの混合物に対するミモトープペプチドH6の結合をELISAによって測定した。 図2はペプチドH6に対するAP33RHIの結合を示す。重鎖界面残基Q39がペプチドH6への最適以下の結合の原因であるかどうかを決定するために、ヒト化重鎖RHI(Q39K)の結合をELISAによって測定した。COS7細胞に一連のキメラ及びRHI重鎖及びRK2b軽鎖コンストラクトを形質移入し、上清を用いてミモトープH6への結合を比較した。キメラ(Vh/Vl)及びヒト化抗体RHb−h、RHI/RK2bc及びヒト化及びキメラ抗体RHFVl又はRHb−h/Vlの混合物へのミモトープペプチドH6の結合をELISAによって測定した。 図3A−BはE2ペプチドへのキメラ及びヒト化抗体の結合を示す。ヒト化抗体RHb−h/Vlへのキメラ抗体の相対的結合性を比較するために、COS7細胞に一連のキメラ及びヒト化抗体コンストラクトを形質移入した。抗体上清にELISAを施し、表5に記載のペプチドに対する結合を比較した。 図4はH6ペプチドに対するRK2変異体の結合を示す。ヒト化軽鎖RK2が機能するのに必要な変異の最小数を、軽鎖RK2、RK2b、及びRK2cとのRHb−gの結合を比較することによって決定した。キメラ抗体Vh/Vlを、過去の実験に対するコンパレータとして含めた。COS7細胞に一連のキメラ及びヒト化抗体コンストラクトを形質移入した。E2ペプチドに対する抗体上清の結合(表5)をELISAによって測定した。 図5A−Iは、ヒト化重鎖VC変異体に対するE2ペプチドの結合を示す。ヒト化重鎖RHb−hが機能するのに必要な変異の最小数を、逆突然変異させられた重鎖RH−B、RH−C、RH−D、RH−E、RH−F、RH−G及びRH−HとのRHb−hの結合を比較することによって決定した。キメラ抗体Vh/Vlを過去の実験に対するコンパレータとして含め、ヒト化軽鎖RK2bcを使用して全てのヒト化重鎖と対形成させた。COS7細胞に一連のキメラ及びヒト化抗体コンストラクトを形質移入した。E2ペプチドに対する抗体上清の結合(表5)をELISAによって測定した。 図6A−Eは、正規化されたデータを使用するE2ペプチドへのヒト化抗体VC変異体の結合の比較を示す。図5のデータを、各データセットをH6結合の割合として正規化することによって更に解析し、各遺伝子型を一緒にグループ化した。 図7A−Eは、ヒト化AP33抗体がHCVpp感染を阻害することを示している。広範な遺伝子型から誘導されたHCVppのキメラAP33又はヒト化抗体の中和。Huh−7細胞の感染前に、HCVppを異なった濃度の精製キメラAP33又はヒト化抗体と共に37℃で1時間プレインキュベートした。抗体の中和活性を感染力価の阻害割合として表す。 図8A−Bは、遺伝子型5由来のHCVppのキメラAP33又はヒト化抗体による中和を示す。HCVppを、Huh−7細胞の感染前に異なった濃度の精製キメラAP33又はヒト化抗体と共に37℃で1時間プレインキュベートした。抗体の中和活性は感染力価の阻害パーセントとして表される。二つの別個の実験からの結果を示す。 図9はAP33のCDRの上面図を示すAP33の分子モデルを示す。透明なConnolly面は褐色の親油性領域を示す。Vernier及びcanonical残基はテーパーのスティックとして示される。図は上からCDRを見下ろしている。ループHl、H2、L3、及びLlは共同して親油性である谷形状の構造を形成する。 図10はAP33のCDRの底面図を示すAP33の分子モデルを示す。透明なConnolly面は褐色の親油性領域を示す。Vernier及びcanonical残基はテーパースティックとして示される。 図11A−Eは、AP33変異体Y47F及びY47WのE2ペプチドへの結合を示す。AP33のキメラ重鎖の変異残基Y47の影響。表5に示されるE2ペプチドの結合を使用して、野生型重鎖AP3と変異体Y47F及びY47Wを比較した。COS7細胞に一連のキメラ及び変異体抗体コンストラクトを形質移入した。E2ペプチドに対する抗体上清の結合をELISAによって測定した。データは、各データセットをH6結合のパーセントとして正規化し、各遺伝子型をグループ化することによって操作した。 図12はAP33変異体Y47F及びY47WによるHCVpp感染の阻害を示している。1a遺伝子型から誘導されたHCVppのキメラAP33又はヒト化抗体による中和。Huh−7細胞の感染前に、HCVppを、異なった濃度の精製キメラAP33又はヒト化抗体と共に37℃で1時間プレインキュベートした。抗体の中和活性は感染力価の阻害パーセントとして表される。 図13(61/006066の表7に既出)は、ドナー配列とのAP33 H及びL鎖中のVernier、Canonical及び界面残基の比較を示す。「’Vern/CDR」は、vernier残基(v)及びCDR(−===−)を示す。淡い灰色の強調部分はCDRを示す。白いテキストで黒い強調部分は、VCI残基を示す。太字のテキストで暗灰色の強調部分は、AP33及びS67826、X61125、AB064133、AB064072及びAY68527に見出されたVCI残基間の差を示す。 図14(61/006066の表8に既出)はAP33VH及び選択されたヒトVH遺伝子中のVCI残基の比較を示す。20のヒトVH配列が最善のVCIスコアを持ち、AP33VHと比較してマッチしたCDR1及び2サイズを有する。「.」はAP33VH中のものと同一の残基を示す。白のテキストで黒の強調部分は、潜在的なドナーフレームワークが異なる部位を示している。VCI/FWスコアは、AP33VHと同一のVCR又はFW残基の数を示している。淡い灰色の強調部分、太字テキストの暗灰色の強調部分、及び太字テキストの非強調部分は、それぞれ非保存的、保存的、及び許容可能なcanonical代替残基を示す。 図15(61/006066の表9に既出)は、選択されたVHタンパク質配列とのAP33VHの比較を示す。これは図14におけるように20のヒトVH配列の比較である。灰色の強調部分はPro残基を示す。太字テキストの暗灰色の強調部分はCys残基を示す。 図16(61/006066の表10に既出)は最善の4つのヒトVH配列のClustalWアラインメントを示す。白テキストでの黒の強調部分はCDRを示しており、灰色の強調部分及び暗灰色の強調部分で太字テキストの部分はCDRの外側のドナー候補間の差を示している。 図17A−B(61/006066の表11に既出)はAP33RHAリーダー選択とSignalPの結果をVH4−59リーダー及びS67826FW1[14]と共に示す。 図18A−B(61/006066の表12に既出)はAP33RHAタンパク質及びDNA配列の生成を示す。図18AはAP33RHAタンパク質配列移植を示し、図18BはAP33RHADNA配列移植を示す。暗灰色の強調部分で太字のテキストはCDRを示す。 図19(61/006066の表14に既出)はAP33RHAのDNA及びタンパク質配列を示す。淡い灰色ボックスは潜在的スプライス部位を取り除くヌクレオチド変化を示す。 図20(61/006066の表15に既出)は、生殖系列ヒトVK遺伝子、AP33VKのV遺伝子セグメントのみ及びヒト生殖系列遺伝子とのAP33VK比較を示す。ヒト生殖系列V遺伝子とのAP33VKの比較は、このCDR1長が如何なるヒトVK遺伝子によっても表されないことを示している。ヒト生殖系列κ遺伝子は同じサイズのCDR1ループを有していない。CDR1ループは黒の強調部分と白のテキストで示される。強調された及び/又は太字の残基は、短いCDR1ループを持つV遺伝子の保存プロリンと長いループのものの間の差を強調している。 図21(61/006066の表16に既出)は、同じCDR1サイズを有するヒトVKのVCIスコアを示す。データベースに見出されたマッチしたcanonicalループ長を持つ6のみの「ヒト」VK配列がファージ又はヒト化抗体であった。「.」はAP33VK中のものと同一の残基を示す。VCI/FWスコアはAP33VKと同一のVCI又はFW残基の数を示している。AP33K中の白文字の黒色強調部分は非保存残基を示している。 図22(61/006066の表17に既出)は高VCIスコアを持つヒトVK(異なったCDR1長を含む)を示す。20のヒトVK配列が最善のVCIスコアを持ち、AP33VHと比較してマッチしたCDR2サイズを有する。「.」はAP33VK中のものと同一の残基を示す。VCI/FWスコアは、AP33VKと同一のVCR又はFW残基の数を示している。AP−33K中の白文字で黒の強調部分は、潜在的なドナーフレームワークが異なる部位を示している。 図23A(61/006066の表18Aに既出)は、非マッチCDR1サイズのAP33VK及びヒトVK配列を示す。Cys、Pro及びCDRは、それぞれ太字テキストでの暗灰色の強調部分、白テキストでの黒色強調部分、及び淡い灰色の強調部分によって示される。 図23B(61/006066の表18Bに既出)は非マッチCDR1サイズのヒト配列とAP33VKのClustalWアラインメントを示す。AP33との残基の同一性は破線で示され、灰色はCDRとその長さの差を強調する。白テキストでの黒色強調部分はVCI残基の差を示し、太字テキストの灰色はX61125又はAY685279中の非保存的変化である。X61125のFW4 KLEINは非常に希で、シークエンシングアーチファクトである可能性があり、KLEIKでありうる。AP33中のKLEIKは共通のモチーフである。 図24(61/006066の表19に既出)は、長いCDR1を有するAP33VK及び非VK4ヒトVK配列のVCIを示す。20のヒトVK非VK4配列が最善のVCIスコアを有し、AP33VKと比較してマッチしたCDR2サイズと長いCDR1を有する。VCI/FWスコアは、AP33VKと同一のVCI又はFW残基の数を示している。 図25(61/006066の表20に既出)は、大きなCDR1を有するAP33VK及びヒトVK非VK4配列を示す。Cys、Pro及びCDRは、それぞれ太字のテキストで暗灰色の強調、白いテキストで黒の強調、及び淡い灰色の強調によって示す。 図26(61/006066の表21に既出)は、大きなCDR1を有するAP33VK及び非VK4ヒト配列のClustalWアラインメントを示す。AP33VKと同一の残基は破線によって示されている。上の7つの配列において、保存的変化及び非保存的変化は暗灰色である。CDRは淡い灰色である。 図27(61/006066の表22に既出)は、ヒトフレームワークX61125及びAY685279を使用するAP33RKAの設計を示す。予想されたシグナルプロテアーゼ切断はVKIV−B3リーダーとX61125−ATGGACATGAGGGTCCCTGCTCAGCTCCTGGGGCTCCTGCAGCTCTGGCTCTCcGGcGCCAGATGTを持つ[20]を生じる。 図28(61/006066の表23に既出)は、予想されたシグナルプロテアーゼ切断[21]で、VKI−012/02リーダー及びAY685279−ATGGACATGAGGGTCCCTGCTCAGCTCCTGGGGCTCCTGCAGCTCTGGCTCTCcGGcGCCAGATGTを持つ結果を生じる。 図29(61/006066の表24に既出)は予想されたシグナルプロテアーゼ切断結果[22]をVKII−A17リーダーとAB064133FWlと共に示す。 図30A及びB(61/006066の表25に既出)はAP33RKA配列の生成を示す。図30AはAP33RKAタンパク質配列移植を示す。図30BはAP33RKA DNA配列移植をVKIVB3リーダーと共に示す。CDRを強調する。 図31A−B(61/006066の表26に既出)はAP33RK2配列の生成を示す。図31AはAP33RK2タンパク質配列移植を示す。図31BはAP33RK2 DNA配列の生成を示す。CDRを強調する。 図32A−B(61/006066の表27に既出)はAP33RK3配列の生成を示す。図32AはAP33RK3タンパク質配列移植を示す。図32BはAP33RK3 DNA配列生成を示す。CDRを強調する。 図33(61/006066の表28に既出)はAP33RK4 DNA配列生成を示す。CDRを強調する。 図34A−D(61/006066の表29に既出)は、リーダーと共にAP33RKA、AP33RK2、AP33RK3、及びAP33RK4 DNA配列を示す。CDRを強調する。 図35(61/006066の表30に既出)は、リーダーと共にAP33RKAのDNA及びタンパク質配列を示す。淡い灰色のボックスは、潜在的スプライス部位又は望まれないBamHI部位を除去するために変化させられたヌクレオチドを表す。 図36(61/006066の表31に既出)は、リーダーと共にAP33RK2のDNA及びタンパク質配列を示す。淡い灰色のボックスは、潜在的スプライス部位又は望まれないBamHI部位を除去するために変化させられたヌクレオチドを表す。 図37(61/006066の表32に既出)は、AP33RK3コンストラクトのDNA及びタンパク質配列を示す。NB AP33RLBは逆突然変異させられた二つのVCIを有している。スプライス部位はこれによっては生成されない。 図38(61/006066の表33に既出)はAP33RK4コンストラクトのDNA及びタンパク質配列を示す。 図39Aは感染パーセントで測定されたCon1 HCVppのAP33及びRH−C/RK2b中和を示す。図39Bは、感染パーセントで測定されたJ6HCVppのAP33及びRH−C/RK2b中和を示す。図39Cは、Con1及びJ6HCVppを使用するAP33及びRH−C/RK2bのEC50(μg/ml)を示す。 図40Aは感染パーセントで測定されたCon1HCVccのAP33及びRH−C/RK2b中和を示す。図40Bは、感染パーセントで測定されたJ6HCVccのAP33及びRH−C/RK2b中和を示す。図40Cは、Con1及びJ6HCVccを使用するAP33及びRH−C/RK2bのEC50(μg/ml)を示す。 図41AはRH−C/RK2b及び10%の正常なヒト血清(NHS)又は慢性HCV感染患者からの血清(CHCHS−1及びCHCHC−2)の存在下でCon1 HCVppを使用する中和アッセイの結果を示す。図41Bは、吸光度(A450)によって測定した、GTIb(Con1)ElE2形質移入293T細胞からの可溶化物を使用するELISAによるCon1 HCV ElE2反応性抗体に対するNHS、CHCHS−1、CHCHS−2、及びRH−C/RK2bの結合レベルを示している。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。 表8のヒト化抗体可変鎖のアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。] 図1 図10 図11A 図12 図13 図14 図15 図16 図17A 図18A [0019] 抗体 抗体は全て免疫グロブリン折り畳みに基づいて様々な構造を有する天然に生じる免疫グロブリン分子である。例えば、IgG抗体、例えばAP33は、機能的抗体を形成するためにジスフフィド結合している2つの「重」鎖と2つの「軽」鎖を有している。各重鎖と軽鎖自体は「定常」(C)及び「可変」(V)領域を含む。V領域は抗体の抗原結合特異性を決定する一方、C領域は免疫エフェクターとの非抗原特異的相互作用において構造的サポートを与え機能する。抗体又は抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性は、抗体又はその断片が特定の抗原に特異的に結合する能力である。 抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特性によって決定される。可変性は可変ドメインの110アミノ酸スパンに均一に分布はしていない。代わりに、V領域は、それぞれ9−12アミノ酸長である「高頻度可変領域」と呼ばれる極端に可変性の短い領域によって分離された15−30のアミノ酸のフレームワーク領域(FRs)と呼ばれる相対的に不変の伸展からなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR領域を含み、多くの場合、βシート構造に連結し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する3つのCDRによって連結されたβシート配置になっている。各鎖の高頻度可変領域はFR領域に極めて近接して保持されており、他の鎖の高頻度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に関与している(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合には直接には関与しないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)における抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。] [0020] ある実施態様では、高頻度可変領域は抗原結合の起因となるアミノ酸残基である。高頻度可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基(例えばVL中のおよそ残基24−34(Ll)、50−56(L2)及び89−97(L3)の付近と、VH中のおよそ31−35B(Hl)、50−65(H2)及び95−102(H3)の付近(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)) 及び/又は「高頻度可変ループ」からの残基(例えば、VL中の残基26−32(Ll)、50−52(L2)及び91−96(L3)とVH中の26−32(Hl)、52A−55(H2)及び96−101(H3)(Chothia及びLesk J. MoI. Biol. 196:901-917 (1987))を含みうる。] [0021] 各V領域は典型的には3つの相補性決定領域(それぞれが「高頻度可変ループ」を含む「CDR」)と4つのフレームワーク領域を含む。特定の所望の抗原に対して実質的な親和性で結合するのに必要とされる最少の構造単位である抗原結合部位は、従って3つのCDRと、適切な高次構造でCDRを保持し提示するためにそれらの間に散在した少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域を含むであろう。古典的な4本鎖抗体、例えばAP33は、VH及びVLドメインが協働して定める抗原結合部位を有している。ある種の抗体、例えばラクダ及びサメ抗体は、軽鎖を欠き、重鎖のみによって形成される結合部位に依存する。結合部位が重鎖又は軽差によって形成され、VHとVLの間に協働がない単一ドメイン操作免疫グロブリンを調製することができる。 本明細書と特許請求の範囲を通して、特に明記しない限りは、免疫グロブリン重鎖の定常ドメイン中の残基の番号付けは、ここに出典を明示して援用するKabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のEUインデックスのものである。「KabatのEUインデックス」とはヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを意味する。配列又は他の番号付けシステムを特に示さない限りは、V領域内の残基はKabat番号付けに従って番号付けをする。] [0022] ここに記載される抗体又は抗体断片は単離され、又はどの程度でも精製されうる。ここで使用される場合、「単離された」は、抗体又は抗体断片がその天然の環境から取り除かれたことを意味する。ある実施態様では、その自然環境の汚染成分は、抗体の診断又は治療への使用を妨害しうる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。ある実施態様では、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法により定量して、95重量%の抗体より多くなるほど、最も好ましくは99重量%より多くなるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、N末端あるいは内部アミノ酸配列の少なくとも15の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは、(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるように充分な程度まで精製される。抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程により調製されるであろう。 「精製された」とは、抗体又は抗体断片の純度が増加し、その天然の環境で存在するよりもより純粋な形態で存在するようになった、及び/又は最初に合成された及び/又は実験室条件下で増幅されたことを意味する。純度は相対的な用語であり、必ずしも絶対純度を意味するものではない。] [0023] 抗体「エフェクター機能」は抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰因するその生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例は、Clq結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC);Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面レセプターのダウンレギュレーション(例えばB細胞レセプター);及びB細胞活性化を含む。 「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)に結合した分泌Igがこれらの細胞傷害性エフェクター細胞を抗原担持標的細胞に特異的に結合させ、ついで細胞毒で標的細胞を死滅せしめる細胞毒性の一形態を意味する。抗体は細胞傷害性細胞を「備え」、かかる死滅化に絶対的に必要とされる。ADCCを媒介する一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血性細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu.Rev.Immunol., 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象分子のADCC活性を評価するためには、米国特許第5500362号又は第5821337号又は米国特許第6737056(Presta)に記載されているようなインビトロADCCアッセイが実施されうる。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、又は付加的に、対象分子のADCC活性は、例えばClynes等 PNAS(USA), 95:652-656(1998)に開示されたような動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。] [0024] 「ヒトエフェクター細胞」とは、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実行する白血球のことである。好ましくは、その細胞が少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例として、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球が含まれるが、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は例えば血液のような天然源から単離されうる。 「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを表す。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(γレセプター)に結合し、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含むものであり、これらのレセプターの対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング型を含む。FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)を含み、それらは、主としてその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース活性化モチーフ(ITAM)を有する。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース阻害モチーフ(ITIM)を有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol., 15:203-234(1997)の概説を参照)。FcRはRavetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel等, Immunomethods4:25-34 (1994);及びde Haas等, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)において概説されている。将来同定されるものも含む他のFcRもここにおける「FcR」なる用語によって包含される。該用語はまた胎児への母性IgGの移動(Guyer等, J. Immumol. 117:587 (1976)及びKim等, J. Immunol. 24:249 (1994))、免疫グロブリンのホメオスタシスの調節の原因である新生児レセプターFcRnもまた含む。] [0025] 国際公開第00/42072号(Presta)にFcRへの結合を向上または減弱させた抗体変異型が述べられている。この特許公開の内容はここに出典明記により具体的に組み込まれる。Shields等 J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。 FcRnへの結合親和性について、一実施態様では、抗体のEC50又は見かけのKd(pH6.0での)は≦100nM、より好ましくは≦10nMである。FcγRIII(F158;すなわち低親和性アイソタイプ)への増加した結合親和性について、一実施態様では、EC50又は見かけのKdは≦10nMであり、FcγRIII(V158;高親和性)について、EC50又は見かけのKdは≦3nMであった。FcRnへの結合の測定方法は知られており(例えばGhetie 1997, Hinton 2004を参照)、以下に記載される。インビボでのヒトFcRnへの結合とヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質転換ヒト細胞株、又はFc変異形ポリペプチドを投与された霊長類においてアッセイすることができる。ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体は、IgGFc内にアミノ酸変異を更に含んでおり、野生型IgG Fcを有する抗体よりも少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、より好ましくは少なくとも100倍、好ましくは少なくとも125倍、更により好ましくは少なくとも150倍から約170倍に亢進したヒトFcRnへの結合親和性を示す。] [0026] 「補体依存性細胞傷害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的細胞を溶解することを意味する。古典的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、その同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods202:163 (1996)に記載されているようにして実施することができる。 Fc領域アミノ酸配列を変更してC1q結合能力が増大又は減少したポリペプチド変異体は、米国特許第6194551号及び国際公開第99/51642号に記載されている。それらの特許文献の内容は、出典明示によって特にここに援用する。またIdusogie 等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。 ここで使用される場合、ここでの値又はパラメータについての「約」という記載は、その値又はパラメータ自体に関する変動を含む(また記述する)。例えば、「約X」との記載は「X」の記載を含む。 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「or」及び「the」には、明らかな別の記載がない限り複数形も含まれる。ここに記載の発明の態様及び変形例には、態様及び変形例「からなる」及び/又は「から本質的になる」が含まれる。] [0027] ヒト化抗体 本発明はAP33に基づくヒト化抗HCV抗体を提供する。一般に、該抗体は少なくとも3つの認識可能なCDR又は高頻度可変ループと、少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域を含み、HCVE2タンパク質に結合する能力を保持している。該抗体はまた軽鎖定常領域及び/又は重鎖定常領域、好ましくは双方を含む。 「ヒト化抗体」なる用語は、少なくとも一つのヒト化抗体鎖(つまり、少なくとも一つのヒト化軽鎖又は重鎖−例えば少なくとも一つのヒト化可変軽鎖又は可変重鎖)を含む抗体を意味する。] [0028] 「ヒト化抗体鎖」(つまり、「ヒト化免疫グロブリン軽鎖」又は「ヒト化免疫グロブリン重鎖」)なる用語は、(実質的に)アクセプターヒト抗体からの可変フレームワーク領域及び実質的に非ヒトドナー抗体(例えばマウス抗体)からの相補性決定領域(CDR)(例えば少なくとも一つのCDR、好ましくは2つのCDR、より好ましくは3つのCDR)を含む可変領域を有し、場合によってはヒト由来の定常領域(例えば軽鎖の場合には少なくとも一つの定常領域又はその一部と、重鎖の場合は好ましくは3つの定常領域)を更に含む抗体鎖(つまりそれぞれ軽鎖又は重鎖)を意味する。また、アクセプターフレームワークの一又は複数の残基は結合親和性を増大させるためにドナーフレームワーク中に存在する残基に一致するように変異されうる。] [0029] 「ヒト化可変領域」(例えば「ヒト化軽鎖可変領域」又は「ヒト化重鎖可変領域」)なり用語は、実質的にヒト抗体からの可変フレームワーク領域と実質的に非ヒト抗体からの相補性決定領域(CDR)を含む可変領域を意味する。 非ヒトドナー抗体は、AP33と命名されたモノクローナル抗体であるか又はそれから誘導される。AP33モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマは、European Collection of Cell Culturesでのブタペスト条約下での寄託対象である(ECACC,CAMR Porton Down, Salisbury, Wiltshire. SP4 9JG; 寄託日:2006年1月27日;受託番号05122101)。] [0030] ヒト化抗体はマウス又はキメラ抗体よりも免疫原性が少ない。キメラ抗体は、ヒト定常領域に結合した非ヒト抗体可変領域の全体を含む抗体である。よって、キメラ抗体では、可変領域は非ヒトドナー由来であり、定常領域はヒトである。キメラ抗体とそれらを作製する方法は例えばProc. Natl. Acad. ScL USA, 81: 6841-6855 (1984)に記載されている。ろれらはマウスモノクローナル抗体よりも免疫原性が少ない場合があるが、キメラ抗体の投与には、抗体の非ヒト部分に対するヒト免疫応答(HAMA)が伴う。キメラ抗体はまたヒト補体を活性化させADCCを媒介する能力のような適当な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共に適当な抗原結合特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングすることによって生産されうる。一例は異なったアイソタイプのものとのFc領域の置換である。] [0031] ヒト化抗体は、ヒト「アクセプター」抗体からのフレームワーク領域に結合した非ヒト「ドナー」抗体からのCDRを含む抗体であるCDR移植抗体を含む。一般に、CDR移植抗体は、非ヒトドナー由来のものよりもヒトアクセプターヒト抗体由来の可変領域(フレームワーク)配列を含むので、キメラ抗体よりもよりヒト抗体配列を含む。よって、例えば、本発明のCDR移植ヒト化抗体は、ヒト抗体のフレームワーク領域(例えばヒト抗体のFR−1、FR−2、又はFR−3)又は場合によってはヒト抗体の全フレームワーク領域の殆ど又は全て由来の連続アミノ酸配列(例えば約5以上、10以上、又は更には15以上の連続アミノ酸残基)を含む重鎖を含みうる。CDR移植抗体とそれらを製造するための方法はNature, 321: 522-525 (1986)に記載されている。ヒト化抗体を生産するために使用できる方法はまた例えば米国特許第5721367号及び同第6180377号に記載されている。] [0032] ある実施態様では、ヒト化抗体はレシピエントの高頻度可変領域残基が、マウス、ラット、ウサギ、又は所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント又はアクセプター抗体)である。ある実施態様では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの変更は結合親和性のような抗体の性能を更に洗練するためになされる。ある実施態様では、ヒト化抗体は、FR領域は結合親和性を改善する一又は複数のアミノ酸置換を含みうるが、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものに対応する少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ある実施態様では、FR中のこれらアミノ酸置換の数はH鎖において6以下であり、L鎖において3以下である。ある実施態様では、ヒト化抗体は、また免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含むであろう。更なる詳細は、Jones等, Nature 321:522-525 (1986);Reichmann等, Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。] [0033] CDR移植抗体は、CDR環境の破壊のため結合活性の喪失を被りうる。これを部分的に是正するために、CDR移植に、抗原結合活性を回復させるために設計されたフレームワーク領域への変異を補充しうる。例えば欧州特許出願公開第0239400号を参照のこと。 ヒト化抗体は、ある種の溶媒暴露アミノ酸残基を置換してその免疫原性を減少させ又はその機能を亢進するように操作されたヒト化抗体である「ベニヤ(veneered)抗体」でありうる。ベニヤ化は非ヒトフレームワーク領域中の溶媒暴露残基を同定し、それらの少なくとも一つをヒトフレームワーク領域からの対応する表面残基と置換することを含みうる。ベニヤ化は任意の適切な操作技術によって達成することができる。] [0034] ヒト化抗体は異種抗体でありうる。異種抗体は互いに結合された二以上の抗体又は抗体結合断片(Fab)であり、各抗体又は断片は異なった特異性を有している。 抗体、ヒト化抗体、ヒト操作抗体、及びその調製方法についての詳細は、Antibody Engineering, Springer, New York, NY, 2001に見出すことができる。抗体のヒト化に対する更なる詳細は例えばQueen等, Proc. Natl. Acad. ScL USA 86:10029-10033 (1989)、米国特許第5530101号、米国特許第5585089号、米国特許第5693761号、米国特許第5693762号、国際公開第90/07861号、及び米国特許第5225539号にまとめられている。] [0035] 一実施態様では、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:19、又は配列番号:20の何れかに記載のアミノ酸配列を含むヒト化AP33抗体の可変軽鎖ドメインが提供される。 他の実施態様では、配列番号3の位置30、48、67、71、78及び94にアミノ酸変異を含むヒト化AP33抗体の可変重鎖ドメインが提供される。 アミノ酸変異は、一又は複数のアミノ酸残基の置換によって得ることができる。ある状況では、欠失又は挿入が許容されうる。変異は、例えば部位特異的突然変異誘発のような標準的な技術を使用して実施することができる。 適切には、アミノ酸変異は置換である。 他の実施態様では、可変重鎖ドメインは従って配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、又は配列番号:18の何れかに記載のアミノ酸配列を含む。] [0036] 可変軽鎖ドメインを含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片もまた提供される。 可変重鎖ドメインを含むヒト化抗体又はヒト化抗体断片もまた提供される。 軽鎖及び重鎖を含み、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域がここに定義された通りであるヒト化抗体又はヒト化抗体断片がまた提供される。 ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、及び配列番号:18からなる群から選択された可変重鎖ドメインと、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:19、及び配列番号:20からなる群から選択された可変軽鎖ドメインを含む。] [0037] ある実施態様では、可変重鎖ドメインは、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、及び配列番号:18からなる群から選択され、可変軽鎖ドメインは配列番号:6である。ある実施態様では、可変重鎖ドメインは、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、及び配列番号:18からなる群から選択され、可変軽鎖ドメインは配列番号:7である。ある実施態様では、可変重鎖ドメインは、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、及び配列番号:18からなる群から選択され、可変軽鎖ドメインは配列番号:19である。ある実施態様では、可変重鎖ドメインは配列番号:13であり、可変軽鎖ドメインは配列番号:19である。ある実施態様では、可変重鎖ドメインは、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、及び配列番号:18からなる群から選択され、可変軽鎖ドメインは配列番号:20である。] [0038] ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体又はその断片はHCVに結合する。ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は、HCV E2タンパク質、可溶型HCV E2タンパク質、又はHCV Elタンパク質及びHCV E2タンパク質のヘテロ二量体に結合可能である。ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片はHCV E2タンパク質に結合する。ある実施態様では、HCV E2タンパク質は、遺伝子型1(例えば、遺伝子型Ia及び遺伝子型Ib)、遺伝子型2(例えば、遺伝子型2a、遺伝子型2b、遺伝子型2c)、遺伝子型3(例えば、遺伝子型3a)、遺伝子型4、遺伝子型5、及び遺伝子型6からなる群から選択されるHCV遺伝子型の一又は複数由来である。ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片はCD81とのHCV E2タンパク質の相互作用を阻害する。ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は細胞中へのHCVの移入を防止及び/又は阻害する。ある実施態様では、細胞は肝臓細胞、例えば、肝細胞である。] [0039] ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は、1−100nMの結合親和性でもって可溶型HCVE2タンパク質に結合する。ある実施態様では、結合親和性は、1−10nM、10−50nM、又は50−100nMの何れかのおよその間である。ある実施態様では、結合親和性は約5nM又は約50nMである。ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は、1−100nMの間の結合親和性でもってHCV E1/HCV E2ヘテロ二量体に結合する。ある実施態様では、結合親和性は1−10nM、10−50nM、又は50−100nMの何れかのおよその間である。ある実施態様では、結合親和性は約5nM又は約50nMである。ある実施態様では、抗体の結合親和性は、例えばMunson等, Anal. Biochem., 107:220 (1980)に記載のスキャッチャード解析によって決定することができる。] [0040] ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体又はその断片はHCV感染を阻害する。ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体又はその断片はHCV偽粒子(HCVpp)感染を阻害する。適切には、ここに記載のヒト化抗体は、HCV偽粒子感染を阻害可能であり、ここで、HCVpp中和アッセイによって判断される上記ヒト化抗体の存在下での感染力価のIC50は、遺伝子型1(1aH77 20)に対しては少なくとも約0.032であり;遺伝子型1(1A20.8)に対しては少なくとも約1.6であり;遺伝子型1(1B5.23)に対しては少なくとも約0.9であり;遺伝子型2(2Bl.1)に対しては少なくとも約3であり;遺伝子型3a(F4/2−35)に対しては少なくとも約0.41であり;遺伝子型4(4.21.16)に対しては少なくとも約0.41であり;遺伝子型6(6.5.8)に対しては少なくとも約0.41であり;遺伝子型5(5.15.11)に対しては少なくとも0.053である。ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体又はその断片はHCV偽粒子感染を阻害することができ、ここで、HCVpp中和アッセイによって判断される上記ヒト化抗体の存在下での感染力価のIC50は、遺伝子型1(IaH77 20)に対して約0.41未満、約0.137未満、又は約0.32未満、遺伝子型1(1A20.8)に対して約1.6、遺伝子型1(1B5.23)に対して約0.9、遺伝子型2(2Bl.1)に対して約3、遺伝子型2(2aJFHl)に対して約0.64、遺伝子型2(2A2.4)に対して約0.51、遺伝子型3(3aF4/2−35)に対して約0.41未満、遺伝子型4(4.21.16)に対して約0.41未満、遺伝子型5(5.15.11)に対して約0.053、又は遺伝子型6(6.5.8)に対して約0.41未満の何れかである。] [0041] ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体はHCVpp感染を阻害することができ、ここでHCVpp中和アッセイによって判断される上記ヒト化抗体の存在下での感染力価のEC50は、遺伝子型Ibに対して少なくとも約0.511であり、遺伝子型2aに対して少なくとも約0.793である。 適切には、HCVpp中和アッセイによって判断される上記ヒト化抗体の存在下での感染力価のIC90は、遺伝子型1(IaH77 20)に対して少なくとも約0.6であり;遺伝子型1(1A20.8)に対して少なくとも約15であり;遺伝子型1(1B5.23)に対して少なくとも約8.3であり;遺伝子型2(2Bl.1)に対して少なくとも約15であり;遺伝子型3a(D4/2−35)に対して少なくとも約2.15であり;遺伝子型4(4.21.16)に対して少なくとも約0.92であり;遺伝子型6(6.5.8)に対して少なくとも約1.8であり;遺伝子型5(5.15.11)に対して少なくとも0.82である。ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体又はその断片はHCV偽粒子感染を阻害することができ、ここで、HCVpp中和アッセイによって判断される上記ヒト化抗体の存在下での感染力価のIC90は、遺伝子型1(IaH77 20)に対して約0.41、約2.4、又は約0.6未満であり、遺伝子型1(1A20.8)に対して約15未満であり、遺伝子型1(1B5.23)に対して約8.3未満であり、遺伝子型2(2Bl.1)に対して約15より大きく、遺伝子型2(2aJFHl)に対して約7より大きく、遺伝子型2(2A2.4)に対して約0.51より大きく、遺伝子型3(3aF4/2−35)に対して約0.41未満であり、遺伝子型4(4.21.16)に対して約6未満であり、遺伝子型5(5.15.11)に対して約0.82未満であり、又は遺伝子型6(6.5.8)に対して約1.8未満の何れかである。] [0042] ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体又はその断片は組換え細胞培養誘導HCV(HCVcc)感染を阻害する。ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体は、HCVcc感染を阻害することができ、ここで、HCVpp中和アッセイによって判断される上記ヒト化抗体の存在下での感染力価のEC50は、遺伝子型Ibに対して少なくとも約0.72であり、又は遺伝子型2aに対して少なくとも約1.7である。 ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は上記特性の一又は複数を示す。] [0043] 抗体工学 抗体の改変のための幾つかの技術は当該分野で知られている。一般に、抗体は、ドナー(非ヒト)抗体由来のCDRをアクセプター(ヒト)抗体フレームワークに移すことによって免疫原性が少なくされる;この手順はCDR移植又はヒト化として知られている。この手順の不利な点は、ドナー及びアクセプターフレームワーク間の差異の結果として、結合活性が損なわれるか又は失われる場合があることである。更に、ある量の免疫原性はCDR自体によって保持されうる。ベニヤ化、表面再構成(resurfacing)、SDR移送及び脱免疫を含む様々な相補的及び代替的技術がこれらの問題に対処するために提案されている。 ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体は、非ヒトのソースからそれに導入された一又は複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基と呼ばれ、これは典型的には「移入」可変ドメインに由来する。ヒト化は、本質的にヒト抗体の対応する配列を高頻度可変領域配列で置換することにより、Winter及び共同研究者(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Reichmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239: 1534-1536 (1988))の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかの高頻度可変領域残基と、場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。] [0044] ヒト化抗体の作製に使用されるヒト可変ドメインの選択は、軽鎖及び重鎖何れも、抗体をヒトの治療用途を意図する場合、抗原性及びHAMA応答(ヒト抗マウス抗体)を減らすために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。齧歯類の配列に最も近いヒトVドメイン配列を同定し、その中のヒトフレームワーク領域(FR)をヒト化抗体に受け入れる(Sims等 J. Immunol. 151:2296(1993);Chothia等 J. Mol. Biol. 196:901(1987))。別の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列から得られた特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを数種の異なるヒト化抗体に使用することができる(Carter等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285(1992);Presta等 J. Immunol., 151:2623(1993))。] [0045] 抗体は、抗原に対する高い親和性及びその他の望ましい生物学的特性を保持してヒト化されることが更に重要である。この目的を達成するために、好ましい方法では、親の配列及びヒト化配列の三次元モデルを用いて、親配列及び様々な概念上のヒト化産物を分析するプロセスにより、ヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、当業者に周知である。選択された候補免疫グロブリン配列の可能な三次元立体配置的構造を図解し表示するコンピュータプログラムが利用可能である。このような表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列が機能する際に残基が果たすと思われる役割を分析することができ、つまり候補免疫グロブリンのその抗原に対する結合能に影響する残基を分析することができる。このようにして、レシピエント及び移入配列からFR残基を選択して組み合わせることにより、所望の抗体特性、例えば標的抗原に対する親和性の増大を達成することができる。一般に、高頻度可変領域残基は、抗原の結合への影響に直接的且つ最も実質的に関わっている。 抗体ヒト化は、例えば、欧州特許出願公開第460167号、欧州特許出願公開第682040号、米国特許第5530101号、米国特許第5585089号、米国特許第5693761号、米国特許第5693762号、米国特許第5766886号、米国特許第5821337号、米国特許第5859205号、米国特許第5886152号、米国特許第5887293号、米国特許第5955358号、米国特許第6054297及びUS6180370に記載されている。これらの方法は全て、抗原結合特異性を付与する原因のアミノ酸残基がヒト抗体可変領域のフレームワーク領域内に組み込まれるように抗体の可変領域を再設計することを含む。] [0046] ある場合、非ヒト抗体の免疫原性部分はヒト抗体由来の残基によって置き換えられる(例えば米国特許第5712120号)。あるいは、抗体可変ドメインの表面上の残基を非ヒト可変ドメインを「表面再構成」するためにヒト抗体由来の残基によって置き換えることができる(例えば米国特許第5639641号)。表面再構成はPadlan(1991, 欧州特許出願公開第0519596号)によって示唆され、「ベニヤ化」とも呼ばれる。この手順において、第一の(CDRのソース−ドナーの等価物)抗体の溶媒露出残基を第二の(「アクセプター」)抗体由来の残基によって置き換えられる。典型的には、第二抗体はヒト抗体である。溶媒隔絶残基、CDR、ドメイン間接触残基、及びCDRに直ぐに隣接する残基は全て第一の抗体におけるように残る。この方策は、完全な抗原結合活性を補助しうる第一抗体からの充填及び界面相互作用の全てを保持しながら第二抗体の表面を模倣するものである。これは、B細胞エピトープの数を減少させなければならず、(幾らかのTエピトープをまた減少させ、低い免疫原性に至らしめる。] [0047] 溶媒露出残基は、抗体の高分解能構造の検査によって同定される。ヒト化に関連しうる抗体の他の領域:CDRと接触し、マウス及びヒト抗体間で異なる埋もれた残基(齧歯類残基が使用される場合);双方のドメインに対してCDRの近くに位置し抗原結合に所定の役割を果たしうるN末端領域;長い距離でさえう役割を担っている場合がまたある静電気的相互作用。置換される表面残基の選択は、第一の抗体可変ドメインと第二の種由来の利用可能な配列のもの(個々か又はコンセンサス配列)の間の相同性一致によって決定される。 米国特許第5639641号及び欧州特許出願公開第0592106A1号は表面再構成の代替法を記載している。ここで、第二の種のものに改変されなければならない溶媒露出残基がPadlanのものと類似の手順を使用するが、各位置に対して平均的な到達性を得る多数の構造を解析して、同定される。あるレベルを越える到達性を有する残基を調べ、抗体が使用される種からの抗体からのものと変えられる。置換される残基の選択は、全体の相同性を有する抗体から又は溶媒露出残基のみを考慮して最も高い相同性を持つ抗体からでありうる。] [0048] 国際公開第93/17105号及び米国特許第5766686号に記載されたヒト化法は、ヒト等価物に通常は安全に改変されうる低リスクの残基を同定する。これらの残基は溶媒露出性の傾向があり、よって、溶媒露出残基だけが変更されれば、この方法は表面再構成法に類似するものになるであろう。 表面再構成又はベニヤ化抗体を提供する正味の効果を有する2つの更なる手順が記載されている;欧州特許出願公開第0438310A1号及び欧州特許出願公開第0519596A1号を参照のこと。 更なる技術は、免疫応答に対するTの助けが利用できないか低減され、導入された抗体に対して最小の免疫応答を導くようにT細胞エピトープを同定し除去する(「デトープ(detope)」と呼ばれる)ことを探求している(米国特許第5712120号;欧州特許出願公開第0699755A2号)。B細胞エピトープがこの方法で無効にされる。] [0049] 抗体ヒト化技術はまた「Antibody Engineering」(Kontermann及びDhubel編), 40章 p567-592 (O'Brien及びJones)に教唆されている。 ある実施態様では、ヒト化抗体は、免疫コンジュゲートを生産するために一又は複数の細胞傷害剤と場合によってはコンジュゲートされる抗体断片、例えばFabでありうる。あるいは、ヒト化抗体は完全長抗体、例えば完全長IgGl抗体でありうる。] [0050] 抗体断片 本発明の範囲内としてまた考えられるものは、選択された標的に結合可能な抗体断片−例えばヒト化抗体断片−で、Fv、ScFv、Fab’、F(ab’)2、dAbs、キメラ、CDR移植、及びヒト化抗体を含む操作された抗体、ファージディスプレイ又は代替技術を使用して製造された人工的に選択された抗体である。小断片、例えばdAbs、Fv、及びScFvは、その小さいサイズとその結果としての優れた組織分布のために診断及び治療用途に有利な性質を有している。 ある実施態様では、抗体断片は、完全長抗体の一部、一般にはその抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。] [0051] ある実施態様では、「Fv」は、完全な抗原-認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域ドメインの二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖から、それぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。 ある実施態様では、ここに記載のヒト化抗体の断片が提供される。ある実施態様では、ヒト化抗体断片は抗原結合断片である。ある実施態様では、ヒト化抗体の抗原結合断片はHCVに結合する。ある実施態様では、ヒト化抗体の抗原結合断片は、HCV E2タンパク質、可溶型HCV E2タンパク質、又はHCV Elタンパク質とHCV E2タンパク質のヘテロ二量体に結合可能である。ある実施態様では、HCV E2タンパク質は、遺伝子型1(例えば、遺伝子型Ia及び遺伝子型Ib)、遺伝子型2(例えば、遺伝子型2a、遺伝子型2b、遺伝子型2c)、遺伝子型3(例えば、遺伝子型3a)、遺伝子型4、遺伝子型5、及び遺伝子型6からなる群から選択されるHCV遺伝子型の一又は複数からのものである。] [0052] 典型的には、これらの断片は、少なくとも107、より典型的には108又は109の親和性での抗原への特異的結合性を示す。ある実施態様では、ヒト化抗体断片は、1−100nMの結合親和性で可溶型HCVE2タンパク質に結合する。ある実施態様では、結合親和性は、1−10nM、10−50nM、又は50−100nMの何れかのおおよその間である。ある実施態様では、結合親和性は約5nM又は約50nMである。ある実施態様では、ヒト化抗体又はその断片は、1−100nMの結合親和性でHCV El/HCV E2ヘテロ二量体に結合する。ある実施態様では、結合親和性は1−10nM、10−50nM、又は50−100nMの何れかのおおよその間である。ある実施態様では、結合親和性は約5nM又は約50nMである。ある実施態様では、抗体の結合親和性は、例えばMunson等, Anal. Biochem., 107:220 (1980)に記載されたスキャッチャード解析によって決定することができる。 ある実施態様では、これらの断片はここに記載のAP33モノクローナル抗体又はヒト化抗体と同じHCV中和活性を(実質的に)示す。ヒト化抗体断片は、別個の重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvを含む。断片は組換えDNA技術又はインタクトな免疫グロブリンの酵素的又は化学的分離によって生産される。] [0053] ある実施態様では、ヒト化抗体断片は機能的断片である。ここに記載のヒト化抗体の「機能的断片」、例えばヒト化AP33抗体の機能的断片は、それらが誘導されるインタクトな完全長分子と実質的に同じ親和性でもってHCVへの結合を保持し、ここに記載のもののようなインビトロ又はインビボアッセイで測定して生物学的活性を示す断片である。ある実施態様では、機能的断片は、HCVpp及び/又はHCVcc中和アッセイによって示されるようにHCVを中和し、及び/又は阻害する。ある実施態様では、ヒト化抗体断片はCD81とのHCV E2タンパク質の相互作用を防止し及び/又は阻害する。ある実施態様では、ヒト化抗体断片は細胞中へのHCVの移入を防止及び/又は阻害する。ある実施態様では、細胞は肝臓細胞、例えば、肝細胞である。] [0054] 様々な技術が抗体断片の生産のために開発されている。伝統的には、これらの断片は、インタクトな抗体のタンパク分解消化を介して誘導された(例えばMorimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods24: 107-117 (1992);及びBrennan等, Science, 229:81 (1985)を参照)。しかしながら、これらの断片は今は組換え宿主細胞によって直接生産されうる。Fab、Fv及びScFv抗体断片は全て大腸菌中で発現され、分泌され得、よって多量のこれらの断片の容易な生産が可能になる。抗体断片は上で検討した抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片は大腸菌から直接回収され得、化学的にカップリングされてF(ab’)2断片を形成する(Carter等, Bio/Technology 10:163-167 (1992))。他のアプローチによれば、F(ab’)2断片は組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含む増加したインビボ半減期を持つFab及びF(ab’)2断片は米国特許第5869046号に記載されている。抗体断片の生産のための他の技術は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択される抗体は一本鎖Fv断片(scFv)である。国際公開第93/16185号;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは接触領域を欠くインタクトな結合部位を有する唯一の種である;よって、それらはインビボ使用での減少した非特異的結合に適している。sFv融合タンパク質はsFvのアミノ又はカルボキシ末端の何れかでエフェクタータンパク質の融合体を生じるように構築されうる。上掲のAntibody Engineering, Borrebaeck編を参照のこと。例えば米国特許第5641870号に記載されているように、抗体断片はまた「直鎖状抗体」でありうる。かかる直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性でありうる。抗原結合抗体断片は、インタクトな免疫グロブリンの酵素的又は化学的分離によって生産されうる。断片はまた組換えDNA技術によって生産することができる(例えば、King等, 1992 Biochem. J. 281, 317-323;Carter等, 1992 Biotechnology 10, 163-167)。選択された断片をコードする核酸セグメントは、関連した制限酵素での完全長コード化配列の消化によって、又は新規合成によって生産される。] [0055] 例えば、F(ab’)2断片は、Harlow及びLane (1988 "Antibodies, A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory, NY)に記載されたもののような標準方法を使用してpH3.0−3.5でのペプシンでのタンパク分解消化によってIgG分子から得ることができる。 Fab断片は、制限された還元によりF(ab’)2断片から、又は還元剤の存在下でのパパインでの消化によって全抗体から得ることができる。 ヒト化抗体は当業者に明らかな多くの方法で特徴付けることができる。これらには、ELISAのような技術によるその濃度の、及びSDS−PAGEによる抗体純度の、物理的測定が含まれる。また、ポリペプチドの効能は、ELISA、表面プラズモン共鳴法(例えばBIAcore)又は免疫蛍光アッセイのように、溶液中又は固相系においてHCVE2糖タンパク質への分子の結合を検出することによって、決定されうる。より特定的には、ポリペプチドの中和能は、例えばHCVpp及びHCVcc中和アッセイのような、ここに記載のようなHCVpp中和アッセイにおいて6つの既知の遺伝子型を表すHCV試料に対して試験することができる。] [0056] 二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、HCVの2つの異なるエピトープに結合しうる。他のこのような抗体では他のタンパク質に対する結合部位とHCV結合部位とが結合しうる。二重特異性抗体はまた細胞に細胞傷害剤を局在化するためにも使用されうる。これらの抗体はHCV結合アーム及び細胞傷害剤(例えば、サポリン、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。 国際公開第96/16673号には、二重特異性抗ErbB2/抗FcγRIII抗体が記載されており、米国特許第5837234号には、二重特異性抗ErbB2/抗FcγRI抗体が開示されている。二重特異性抗ErbB2/Fcα抗体は国際公開第98/02463号に示されている。米国特許第5821337号は、二重特異性抗ErbB2/抗CD3抗体を教示するものである。] [0057] 二重特異性抗体を作製する方法は当該分野において既知である。二重特異性抗体の伝統的な組換え産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの重鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/08829号及びTraunecker等,EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。 異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原−抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。好ましくは、該融合は、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに存在させることが好ましい。免疫グロブリン重鎖の融合体と、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。これにより、コンストラクトに使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が特に重要性を持たないときは、2又は3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。] [0058] このアプローチ法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methodsin Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。 米国特許第5731168号に記載されている他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第一抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第二の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。] [0059] 二特異性抗体は架橋又は「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの一方の抗体がアビジンと結合し、他方はビオチンと結合しうる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対してターゲティングさせること(米国特許第4676980号)及びHIV感染の治療(国際公開第91/00360号、国際公開第92/00373号及び欧州特許出願公開第03089号)への用途が提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は任意の簡便な架橋方法によって作製できる。適切な架橋剤は当該分野において周知であり、多くの架橋法と共に米国特許第4676980号に記されている。 抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) はインタクトな抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルヒド形成を防止する。産生されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再転換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。生産された二重特異性抗体は酵素の選択的固定化のための薬剤として使用することができる。] [0060] 最近の進歩により大腸菌からFab'-SH断片を直接回収することが容易となっており、これにより化学的にカップリングされて二重特異性抗体を形成する。Shalaby 等, J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)は、完全なヒト化二重特異性抗体F(ab')2分子の産生について記述している。各々のFab'断片は大腸菌から別々に分泌されて、インビトロで化学的にカップリングされて、二重特異性抗体を形成する。従って、形成された二重特異性抗体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞及び正常ヒトT細胞に結合するだけでなく、ヒト乳房腫瘍の標的に対するヒト細胞毒性リンパ球の溶解活性を引き起こすことができた。 組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生産されている。Kostelny等, J.Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させた。抗体ホモダイマーはヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、ついで再酸化させて抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法はまた抗体ホモダイマーの生産に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作製する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするのに十分に短いリンカーにより軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)を結合してなる。従って、一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーを使用する他の二重特異性抗体断片の作製方策もまた報告されている。Gruber等, J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照のこと。 二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等 J. Immunol. 147:60(1991)。] [0061] 多価抗体 多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインターナリゼーション(及び/又は異化)されうる。本発明の抗体は、3又はそれ以上の結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のもの)であり得(例えば四価抗体)、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は二量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を有する。好ましい二量化ドメインはFc領域又はヒンジ領域を有する(又はそれらからなる)。このシナリオでは、抗体はFc領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。ここでの好ましい多価抗体は3から約8(しかし好ましくは4つ)の抗原結合部位を有する(又はそれらからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を有し、ポリペプチド鎖は2又はそれ以上の可変ドメインを有する。例えば、ポリペプチド鎖はVD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを有し、ここでVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖は、VH-CH1-可動性リンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を有し得る。ここでの多価抗体は、好ましくは少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドを更に有する。ここでの多価抗体は、例えば約2から約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含む。ここで考えられる軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを含み、場合によってはCLドメインを更に含む。] [0062] 他のアミノ酸配列修飾 ここに記載されたHCV結合抗体のアミノ酸配列の修飾を考える。例えば、抗体の結合親和性及び/又は生物学的特性を向上させることができれば望ましい。ヒト化AP33抗体のような抗HCV抗体のアミノ酸配列変異体は、抗HCV抗体の核酸に適切なヌクレオチド変化を導入して、又はペプチド合成により調製されうる。そのような修飾は、抗HCV抗体のアミノ酸配列内の残基の、例えば、欠失型、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終コンストラクトが所望する特徴を有していれば、欠失、挿入及び置換をどのように組合せてもよい。またアミノ酸変化はグリコシル化部位の数又は位置のような、抗HCV抗体の翻訳後プロセスを変化させうる。 突然変異誘発に好ましい位置である抗HCV抗体のある残基又は領域の同定に有益な方法は、Cunningham及びWells Science, 244:1081-1085(1989)に開示されているように「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的となる残基又は残基の組が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電した残基)、中性の、又は負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)で置換され、アミノ酸のHCV抗原との相互作用に影響を与える。ついで、置換に対する機能的感受性を示しているそれらアミノ酸位置を、置換の部位において、又は置換の部位のために、更なる又は他の変異体を導入することにより精製する。このように、アミノ酸配列変異体を導入する部位は予め決定されるが、突然変異自体の性質は予め決定される必要はない。例えば、与えられた部位における突然変異のパーフォーマンスを分析するために、標的コドン又は領域においてalaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を実施し、発現した抗HCV抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。] [0063] アミノ酸配列挿入には、1残基から100以上の残基を有するポリペプチドまでの長さに亘るアミノ末端融合及び/又はカルボキシ末端融合、並びに単一又は複数アミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を持つ抗HCV抗体又は細胞傷害性ポリペプチドに融合した抗体が含まれる。抗HCV抗体分子の他の挿入変異体には、抗体の血清半減期を増加させるポリペプチド又は(例えばADEPTのための)酵素への抗HCV抗体のN末端又はC末端の融合が含まれる。 他のタイプの変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗HCV抗体中に異なった残基により置換される少なくとも一のアミノ酸残基を有する。置換突然変異について関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR改変もまた考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して以下の表に示す。そのような置換が生物学的活性の変化をもたらすならば、表中に「例示的置換」と名前を付けた、又はアミノ酸クラスに関連して以下に更に記載されるより実質的な変化が、導入され得、産物がスクリーニングされうる。] [0064] ] [0065] 抗体の生物学的性質における実質的修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩の維持についてのその効果が有意に異なる置換を選択することにより達成される。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に従ってグループ化することができる(A. L. Lehninger, in Biochemistry, 2版, pp. 73-75, Worth Publishers, New York (1975)): (1)無極性:Ala(A),Val(V),Leu(L),Ile(I),Pro(P),Phe(F),Trp(W),Met(M) (2)無電荷極性:Gly(G),Ser(S),Thr(T),Cys(C),Tyr(Y),Asn(N),Gln(Q) (3)酸性:Asp(D),Glu(E) (4)塩基性:Lys(K),Arg(R),His(H)] [0066] 別法では、天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる: (1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; (2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln; (3)酸性:Asp、Glu; (4)塩基性:His、Lys、Arg; (5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro; (6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。 非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。] [0067] 抗HCV抗体の適切な高次構造を維持することに関与していない任意のシステイン残基も、一般的には、セリンと置換して、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を防いでもよい。逆に、システイン結合をその抗体に付加して、その安定性を改善してもよい(特に抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。 特に好ましい型の置換変異体は、親抗体(例えばヒト化抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、更なる発展のために選択され、得られた変異体は、それらが作製された親抗体と比較して改善された生物学的特性を有している。そのような置換変異体を作製する簡便な方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟を含む。簡潔に言えば、幾つかの高頻度可変領域部位(例えば6−7部位)を変異させて各部位においてあらゆる可能なアミノ酸置換を生成させる。このようにして生成された抗体変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物としてディスプレイされる。ファージディスプレイ変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体とHCVの間の接点を特定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体がひとたび生成されると、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択することができる。] [0068] 抗体のアミノ酸変異体の他の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。ヒト化抗体又はその断片は非アミノ酸部分を含みうる。例えば、ヒト化抗体又はその断片はグリコシル化されうる。かかるグリコシル化は宿主細胞又は宿主生物中でのヒト化抗体又はその断片の発現中に天然に生じうるか、又はヒト介入から生じる慎重な修飾でありうる。変更とは、抗体に見い出される一又は複数の糖鎖部分の欠失、及び/又は抗体に存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。 抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合又はO結合の何れかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を意味する。アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここでXはプロリンを除く任意のアミノ酸)のトリペプチド配列は、アスパラギン側鎖への糖鎖部分の酵素的結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列の何れかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作出される。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースの糖類のうち一つが結合することを意味するが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンもまた用いることができる。] [0069] グリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を、それが一又は複数の上述したトリペプチド配列(N結合グリコシル化部位のもの)を含むように変化させることによって簡便に達成される。該変化は、元の抗体の配列への一又は複数のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれによる置換によってもなされる(O-結合グリコシル化部位の場合)。 アミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で知られた様々な方法によって調製される。これらの方法は、限定するものではないが、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又は初期に調製された変異体もしくは抗HCV抗体の非変異体バージョンのオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発による調製を含む。 エフェクター機能に関して、例えば抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)を向上させるために、本発明の抗体を修飾することが望ましい場合がある。これは、抗体のFc領域に一又は複数のアミノ酸置換を導入することで達成されうる。あるいは又は加えて、Fc領域にシステイン残基を導入することによってこの領域での鎖間のジスルフィド結合形成が起こりうる。このようにして生成されたホモ二量体抗体は改善された内部移行能及び/又は増加した補体媒介細胞死滅及び抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有しうる。Caron等, J. Exp Med. 176:1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照のこと。抗腫瘍活性が亢進されたホモ二量体抗体もまたWolff等, Cancer Research 53:2560-2565 (1993)に記載されているようなヘテロ二官能性架橋剤を用いて調製されうる。あるいは、抗体を二重Fc領域を持つように操作して、それによって補体媒介性溶解及びADCC能を亢進した。Stevenson等, Anti-Cancer Drug Design 3:219-230 (1989)を参照。 米国特許出願公開第2006/0067930号に記載されているように、抗体の血清半減期を増大させるために、アミノ酸改変を抗体中に行うことができる。] [0070] 他の抗体修飾 抗体の他の修飾がここで考察される。例えば、抗体は様々な非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン類、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーに結合されうる。また抗体は、例えばコアセルベーション法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)にコロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉することができる。このような技術はRemington's Pharmaceutical Sciences, 16版, Osol A.編(1980)に開示されている。 加えてもしくはあるいは、ヒト化抗体又はその断片に他の化学修飾を施してもよい。一つのそのような望ましい修飾は一又は複数のポリエチレングリコール(PEG)部分の付加である。ペグ化はインビボで様々な抗体断片の半減期を有意に増大させることが示されている(Chapman 2002 Adv. Drug Delivery Rev. 54, 531-545)。しかしながら、抗体断片の無作為のペグ化は抗原に対する断片の結合親和性に非常に致命的な影響を持ちうる。これを避けるためには、ペグ化をヒト化抗体又はその断片の特定の標的残基に限定することが望ましい(Knight等, 2004 Platelets 15, 409-418及び上掲のChapmanを参照)。] [0071] 所望の性質を持つ抗体のスクリーニング ある種の生物学的特徴を有する抗体は実験実施例に記載のようにして選択することができる。 興味ある抗体が結合するHCVE2タンパク質上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするためには、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow及びDavid Lane (1988)に記載されたもののような常套的な交差ブロックアッセイを実施することができる。このアッセイは、試験抗体が本発明の抗HCV E2抗体と同じ部位又はエピトープに結合するかどうかを決定するために使用することができる。あるいは、又は加えて、エピトープマッピングを当該分野で知られている方法によって実施することができる。例えば、抗体配列を例えばアラニンスキャニングによって変異誘発させ接触残基を同定することができる。変異体抗体は正しい折り畳みを確実にするためにポリクローナル抗体との結合について最初に試験される。異なった方法では、HCV E2タンパク質の異なった領域に対応するペプチドを、 試験抗体又は試験抗体群及び特徴付けられた又は既知のエピトープの抗体との競合アッセイで使用することができる。] [0072] ある実施態様では、抗体はまたHCV感染を中和するその能力についてスクリーニングすることができる。ある実施態様では、HCV感染の中和はここに記載されたHCV偽型粒子(HCVpp)中和アッセイに基づいている。HCVppはレトロウイルス又はレンチウイルスコア粒子に組み込まれた未修飾のHCVエンベロープ糖タンパク質からなる。HCVppはHCVエンベロープタンパク質依存式で肝細胞腫細胞株及び肝細胞に感染する。HCVpp内にパッケージされたマーカー遺伝子の存在により、抗体媒介性中和の迅速で信頼性のある決定が可能になる。ある実施態様では、HCV感染の中和は、ここに記載のヒト肝細胞腫細胞株に感染する組換え細胞培養誘導HCV(HCVcc)中和アッセイに基づいている。] [0073] II.ポリヌクレオチド 本発明はまたポリヌクレオチドを提供する。ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼによりポリマー中に取り込まれうる任意の基質でありうる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含みうる。もし存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組立ての前後に付与されうる。 例えば、ポリヌクレオチドは、軽鎖又は重鎖のような全免疫グロブリン分子鎖をコードしうる。完全な重鎖は、重鎖可変領域(VH)ばかりでなく重鎖定常領域(CH)を含み、これは典型的には3つの定常ドメイン:CH1、CH2及びCH3;及び「ヒンジ」領域を含む。ある状況では、定常領域の存在が望ましい。例えば、抗体がHCV感染細胞を死滅させることが望まれる場合、完全な定常領域の存在は補体を活性化させために望ましい。しかしながら、他の状況では、完全な定常領域の存在は望ましくない場合がある。] [0074] ポリヌクレオチドは可変軽鎖及び/又は可変重鎖をコードしうる。 ポリヌクレオチドによってコードされうる他のポリペプチドは、抗原結合抗体断片、例えば単一ドメイン抗体(「dAbs」)、Fv、scFv、Fab’及びF(ab’)2及び「ミニボディ」を含む。ミニボディは(典型的には)CH1及びCK又はCLドメインが切り取られた二価抗体断片である。ミニボディは一般的な抗体より小さいので、それらは臨床/診断用途では良好な組織浸透を達成するはずであるが、dAbsのような一価抗体断片よりも高い結合親和性を保持しなければならない二価である。従って、内容が矛盾しない限り、ここで使用される「抗体」なる用語は抗体分子全体ばかりでなく、上で検討したタイプの抗原結合抗体断片もまた包含する。 コードされたポリペプチドは典型的にはAP33のものと同一又は実質的に同一のCDR配列を有している一方、フレームワーク領域はヒト由来であるAP33のものとは異なる。よって、本発明のポリヌクレオチドは、AP33の重鎖及び/又は軽鎖(適切な場合)に対してここに記載された重鎖及び/又は軽鎖可変領域を有するポリペプチドを好ましくはコードする。コードされるポリペプチドが部分的な又は完全な重鎖及び/又は軽鎖定常領域を含む場合、これはまた有利にはヒト由来のものである。 好ましくは、コードされるポリペプチドのフレームワーク領域の少なくとも一つ、最も好ましくはフレームワーク領域の各々は、ヒト化抗体の結合活性を増加させるために、AP33のものとより類似するようにするヒトアクセプターに対するアミノ酸置換を含む。] [0075] 好ましくは、コードされたポリペプチド中に存在する各フレームワークは、対応するヒトアクセプターフレームワークに対して少なくとも一つのアミノ酸置換を含む。よって、例えば、フレームワーク領域は、アクセプターフレームワーク領域に対して、全体で3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のアミノ酸置換を含みうる。有利には、変異は、マウスAP33フレームワーク内の等価な位置に存在する残基に一致させるための逆突然変異である。好ましくは、6の逆突然変異が重鎖及び軽鎖の一においてなされる。 適切には、本発明のポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドは、単離され、及び/又は精製されうる。ある実施態様では、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドは、単離されたポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドである。単離されたなる用語は、分子がその通常の又は自然の環境から除去され又は分離されており、又はそれがその通常の又は自然の環境では存在しないような形で製造されたことを示すものである。ある実施態様では、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドは精製されたポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドである。精製されたという用語は、少なくとも幾らかの汚染分子又は物質が除去されたことを示すものである。] [0076] 適切には、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドは、関連したポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドが組成物中に存在する支配的な(つまり最も豊富な)ポリヌクレオチド又はポリペプチドを構成するように、実質的に精製される。 本発明は従ってここに記載された重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインをコードする挿入断片を含む組換え核酸を用いる。定義では、そのような核酸は、コード化一本鎖核酸、上記コード化核酸とそれに対する相補的核酸からなる二重鎖核酸、又はこれらの相補的(一本鎖)核酸自体を含む。 修飾はまたAP33抗体の重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインの外側に作製することもできる。そのような変異体核酸は、一又は複数のヌクレオチドが同じアミノ酸をコードする新しいコドンを有する他のヌクレオチドによって置き換えられるサイレント変異でありうる。そのような変異体配列は縮重配列でありうる。縮重配列は元々コードされていたアミノ酸配列の変化を生じないで他のヌクレオチドによって限られない数のヌクレオチドが置き換えられる点で遺伝暗号の意味内で変性される。そのような縮重配列は、重鎖可変ドメイン及び/又は軽鎖可変ドメインの最適な発現を得るために特定の宿主、特に酵母、最近又は哺乳動物細胞によって好まれるその異なった制限部位及び/又は特定のコドンの頻度のために有用でありうる。] [0077] 配列同一性又は配列相同性 本発明は、ここに定義された特定の性質を有するポリペプチドのアミノ酸配列又はそのようなポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列と配列同一性又は配列相同性の度合いを有する配列(以下「相同配列」と称す)の使用を包含する。ここで、「ホモログ」なる用語は、対象のアミノ酸配列及び対象のヌクレオチド配列とある相同性を有しているものを意味する。ここで、「相同性」なる用語は、「同一性」と等しくできる。 相同のアミノ酸配列及び/又はヌクレオチド配列は機能的活性を保持し及び/又は抗体の活性を亢進するポリペプチドを提供し及び/又はコードしなければならない。] [0078] 本文脈では、相同配列は、対象配列と少なくとも75、85、又は90%同一であり、好ましくは少なくとも95又は98%同一でありうるアミノ酸配列を含むものである。典型的には、相同体は対象アミノ酸配列と同じ活性部位等を含むであろう。相同性は類似性(つまり、類似の化学的性質/機能を有しているアミノ酸残基)によってもまた考慮されうるが、本発明の文脈では、配列同一性によって相同性を表現するのが好ましい。 本文脈において、相同配列は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(対象配列)と少なくとも75、85、又は90%同一であり、好ましくは少なくとも95又は98%同一でありうるヌクレオチド配列を含むものである。典型的には、相同体は対象配列と活性部位等をコードする同じ配列を含むであろう。相同性は類似性(つまり、類似の化学的性質/機能を有しているアミノ酸残基)によってもまた考慮されうるが、本発明の文脈では、配列同一性によって相同性を表現するのが好ましい。] [0079] 相同性の比較は、目によって、又はより普通には直ぐに利用できる配列比較プログラムを用いて実施されうる。これら市販のコンピュータプログラムは二以上の配列間の相同性%を計算できる。 相同性%は近接配列にわたって計算されうる。つまり、一つの配列が他の配列と整列され、一配列中の各アミノ酸を、他の配列中の対応するアミノ酸と、一時に一残基で、直接比較する。これは「ギャップなし」アラインメントと呼ばれる。典型的には、そのようなギャップなしのアラインメントは比較的短い数の残基に対してのみ実施される。] [0080] これは非常に簡単で一貫した方法であるが、何か同一の配列対において、例えば一つの挿入又は欠失が次のアミノ酸残基をアラインメントから外れるようにし、よって全体のアラインメントが実施される場合に相同性%に大きな減少を潜在的に生じせしめることを考慮することに失敗している。従って、殆どの配列比較法は、過度に全体の相同性スコアにペナルティを課さないで可能な挿入及び欠失を考慮する最適なアラインメントをつくるように設計される。これは、局所的相同性を最大にすることを試みるために配列アラインメント中に「ギャップ」を挿入することによって達成される。] [0081] しかしながら、これらのより複雑な方法は、同じ数の同一のアミノ酸に対して、−二つの比較した配列間での高い関連性を反映する−できる限り少ないギャップの配列アラインメントが多くのギャップのものよりも高いスコアを達成するように、アラインメントで生じる各ギャップに「ギャップペナルティ」を割り当てる。ギャップの存在に対して相対的に高いコストを、ギャップ内にそれぞれの続く残基に小さいペナルティを負担させる「アフィンギャップコスト」が典型的には使用される。これは最も一般的に使用されるギャップスコアシステムである。高いギャップペナルティはもちろんより少ないギャップの最適化されたアラインメントをつくり出す。殆どのアラインメントプログラムはギャップペナルティを変更することを許容している。しかしながら、配列比較のためにそのようなソフトウェアを使用する場合、デフォルト値を使用するのが好ましい。] [0082] 従って、最大の相同性%の計算は、先ずギャップペナルティを考慮に入れて、最適なアラインメントをつくり出すことを必要とする。そのようなアラインメントを実施するための適切なコンピュータプログラムはVectorNTI (Invitrogen Corp.)である。配列比較を実施することができるソフトウェアの例は、限定されるものではないが、例えばBLASTパッケージ(Ausubel等, (1999) Short Protocols in Molecular Biology, 4版 - 18章参照)、BLAST2 (FEMS Microbiol Lett 174(2): 247-50 (1999);FEMS Microbiol Lett 177(1): 187-8(1999)を参照)、FASTA(Altschul等, J. MoI. Biol. 403-410 (1990))及びAlignXを含む。少なくともBLAST、BLAST2及びFASTAはオフライン及びオンラインサーチに利用できる(Ausubel等, (1999) 7-58から7-60頁参照)。] [0083] 最終の相同性%は、同一性の面から測定することができるが、アラインメント法自体は典型的には全てか無かの対比較に基づいてはいない。その代わりに、化学的類似性又は進化的距離に基づく各ペアワイズ比較にスコアを割り当てるスケール化した類似性スコアマトリックスが一般に使用される。一般的に使用されるそのようなマトリックスの一例は、BLOSUM62マトリックス−BLASTプログラムスーツのデフォルトマトリックスである。VectorNTIプログラムは、公的なデフォルト値か又は供給されるならばあつらえられたシンボル比較表(更なる詳細は使用者用マニュアルを参照)の何れかを一般に使用する。幾つかの応用では、Vector NTIパッケージに対するデフォルト値を使用することが好ましい。] [0084] あるいは、相同性パーセントは、CLUSTALに類似のアルゴリズムに基づいてVectorNTI(Invitrogen Corp.)における多重アラインメント特性を使用して計算することができる(Higgins DG & Sharp PM, Gene 73(1), 237-244 (1988))。 ひとたびソフトウェアが最適なアラインメントをつくり出したならば、相同性%、好ましくは配列同一性%を計算することができる。ソフトウェアは典型的には配列比較の一部としてこれを実施し、数値結果を生成する。 配列同一性を決定する場合にギャップペナルティが使用されるならば、好ましくは次のパラメータがペアワイズアラインメントに使用される。表2を参照のこと。] [0085] 一実施態様では、CLUSTALは上で定義されたようなギャップペナルティ及びギャップ伸長を用いて使用することができる。 適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の度合いは、少なくとも20の近接ヌクレオチド、好ましくは少なくとも30の近接ヌクレオチド、好ましくは少なくとも40の近接ヌクレオチド、好ましくは少なくとも50の近接ヌクレオチド、好ましくは少なくとも60の近接ヌクレオチド、好ましくは少なくとも100の近接ヌクレオチドに対して決定される。 適切には、ヌクレオチド配列に関する同一性の度合いは、配列全体に対して決定される。] [0086] ハイブリダイゼーション 更なる態様では、ここに記載されたヌクレオチド配列にハイブリダイズ(例えば特異的にハイブリダイズ)可能な核酸配列が提供される。 ここで使用される「ハイブリダイゼーション」なる用語は、「核酸のストランドが塩基対形成を通して相補的ストランドと一緒になるプロセスを含む。ハイブリダイゼーションの条件は、Berger及びKimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methodsin Enzymology, 152, Academic Press, San Diego CA)に教示されているように、核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づいており、以下に説明される定まった「ストリンジェンシー」を付与する。 最大のストリンジェンシーは典型的には約5℃以下のTmで生じ;高ストリンジェンシーは約5℃から10℃以下のTm;中程度のストリンジェンシーは約10℃から20℃以下のTm;及び低ストリンジェンシーは約20℃から25℃以下のTmである。当業者には理解されるように、最大のストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは同一のヌクレオチド配列を同定し又は検出するために使用することができる一方、中程度の(又は低い)ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションは類似の又は関連した配列を同定し又は検出するために使用することができる。] [0087] 適切には、ここに記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な核酸配列は、ここに記載のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下(例えば、50℃及び0.2×SSC{1×SSC=0.15M NaCl,0.015M Na3シトレートpH7.0}でハイブリダイズ可能な配列である。 適切には、ここに提示されたヌクレオチド配列に高ストリンジェントな条件下(例えば、65℃及び0.1×SSC{1×SSC=0.15M NaCl,0.015M Na3シトレート pH7.0}でハイブリダイズ可能な核酸配列である。] [0088] 本発明はまた本発明のヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な配列に相補的であるヌクレオチド配列(ここに提示されたものの相補的配列を含む)に関する。 また本発明の範囲内に含まれるものは、中程度から最大のストリンジェンシーの条件下でここに提示されたヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列である。] [0089] III.組換え抗体の発現 また提供されるものは、ヒト化AP33抗体のようなここに記載された抗HCV抗体及びその断片をコードする単離された核酸、該核酸を含むベクター及び宿主細胞、及び該抗体の生産のための組換え技術である。ここに記載の抗体は組換え発現によって生産することができる。 ここに記載された軽鎖及び重鎖可変領域をコードする核酸を場合によっては定常領域に結合させ、発現ベクター中に挿入する。軽鎖及び重鎖を、同じ又は異なった発現ベクター中でクローニングすることができる。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントを、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクター中の制御配列に作用可能に連結させる。発現制御配列は、限定しないが、プロモーター(例えば、天然に付随するか異種性のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列を含む。 適切には、発現制御配列は、真核生物宿主細胞(例えば、COS細胞−例えばCOS7細胞−又はCHO細胞)を形質転換し又は形質移入することができるベクター中の真核生物プロモーター系である。ベクターが適切な宿主中にひとたび導入されたならば、宿主がヌクレオチド配列の高レベルの発現、及び交差反応抗体の収集と精製に適した条件下に維持される。 これらの発現ベクターはエピソームとして又は宿主染色体DNAの一体部分として宿主生物中で典型的に複製可能である。] [0090] 選択遺伝子成分−一般に、発現ベクターは、典型的には、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にするために選択可能マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性又はネオマイシン耐性)を含む(例えば、Itakura等, 米国特許第4704362号を参照)。ある実施態様では、選択遺伝子は、(a)例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、又はテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)例えばバシリに対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。 選択スキームの一例では、宿主細胞の増殖を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換される細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産し、よって選択工程を生存する。このような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。 哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの他の例は、ヒト化AP33抗体のようなここに記載の抗HCV抗体をコードする核酸の捕捉にコンピテントな細胞の同定を可能にするもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びIII、好ましくは、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等々である。] [0091] 例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換体の全てを培養することで最初に同定される。野生型DHFRが用いられる場合に適切な宿主細胞はDHFR活性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えばATCCCRL−9096)である。 あるいは、ここに記載の抗体をコードするDNA配列、野生型DHFR遺伝子、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーと共に形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーに対する選択剤を含む培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照のこと。] [0092] 酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb等, Nature, 282:39(1979))。trp1遺伝子は、例えば、ATCC第44076号あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で増殖する能力に欠ける酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する。Jones, Genetics, 85:12 (1977)。酵母宿主細胞ゲノムにtrp1破壊が存在することは、ついでトリプトファンの不存在下における増殖による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC20622あるいは38626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補完される。 また、1.6μmの円形プラスミドpKD1由来のベクターは、クルイヴェロマイシス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる。あるいは、組換え仔ウシキモシンの大規模生産のための発現系がK.ラクティス(lactis)に対して報告されている。Van den Berg, Bio/Technology, 8:135 (1990)。クルイヴェロマイシスの工業的な菌株による組換え体成熟ヒト血清アルブミンの分泌のための安定した複数コピー発現ベクターもまた開示されている。Fleer 等, Bio/Technology,9:968-975 (1991)。] [0093] シグナル配列成分− ここに記載の抗HCV抗体、例えばヒト化AP33抗体は、組換え的に直接ばかりでなく、好ましくはシグナル配列又は成熟タンパク質又はポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種ポリペプチドとの融合体ポリペプチドとしても生産することができる。好ましく選択される異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識され、プロセシングされる(つまり、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、1pp、又は熱安定エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列と置換できる。酵母の分泌では、天然シグナル配列を、例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(サッカロミセス(Saccharomyces)及びクルベロマイセス(Kluyveromyces)α因子イーダー)、又は酸ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)グルコアミラーゼリーダー、又は国際公開第90/13646号に記載のシグナルによって置換されうる。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物シグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。 そのような前駆体領域のDNAを、ヒト化AP33抗体のようなここに記載の抗HCV抗体をコードするDNAに読み枠を一致させてライゲートさせる。] [0094] 複製起点−発現ベクターとクローニングベクターは共にベクターが一又は複数の選択された宿主細胞で複製するようにする核酸配列を含んでいる。一般に、クローニングベクターでは、この配列は、ベクターを宿主染色体DNAとは独立に複製させるものであり、複製起点又は自己複製配列を含む。そのような配列は様々な細菌、酵母、及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322からの複製起点は殆どのグラム陰性細菌に適しており、2μプラスミド起点は酵母に対して適しており、様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)が哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点成分は哺乳動物発現ベクターには必要ではない(SV40起点はただそれが初期プロモーターを含んでいるので典型的に使用されうる)。] [0095] プロモーター成分−発現及びクローニングベクターは宿主生物によって認識されヒト化AP33抗体のようなここに記載の抗体をコードする核酸に作用可能に結合しているプロモーターを通常含む。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターは、phoAプロモーター、βラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターを含む。しかし、他の既知の細菌プロモーターも好適である。細菌系で使用するプロモータもまた抗HCV抗体をコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を含むであろう。 真核生物に対してのプロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25から30塩基上流に位置するATリッチ領域を有している。多数の遺伝子の転写開始位置から70から80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルでありうるAATAAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクター中に適切に挿入される。] [0096] 酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ又は他の糖分解酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。 増殖条件によって制御される転写の更なる利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼに対するプロモーター領域、及びマルトース及びガラクトース利用の原因である酵素である。酵母発現に使用する適したベクター及びプロモーターは欧州特許出願公開第73657号に更に記載されている。酵母エンハンサーもまた酵母プロモーターと共に有利に使用される。] [0097] 哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのヒト化AP33抗体のようなここに記載の抗HCV抗体の転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス、最も好ましくはサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプロモーター、又は異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合性である限り、調節されうる。 SV40ウィルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウィルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウィルスを用いて哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変形例は米国特許第4601978号に開示されている。また、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの調節下でのマウス細胞中でのヒトβインターフェロンcDNAの発現について、Reyes等, Nature, 297:598-601(1982)を参照のこと。あるいは、ラウス肉腫ウィルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。] [0098] エンハンサーエレメント成分− より高等の真核生物によるヒトAP33抗体のようなここに記載の抗HCV抗体をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強される。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサーエレメントについては、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、HCV結合抗体コード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされうるが、好ましくはプロモーターから5'位に位置している。] [0099] 転写終結成分 真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、また転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に入手できる。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示された発現ベクターを参照のこと。 ポリヌクレオチド配列(例えば、可変重鎖及び/又は可変軽鎖コード化配列及び任意成分の発現制御配列)を含むベクターは、細胞宿主のタイプに応じて変わるよく知られた方法によって宿主細胞に移入されうる。例えば、塩化カルシウム形質移入が一般に原核生物宿主に対して利用され、リン酸カルシウム処理、電気穿孔法、リポフェクション、微粒子銃又はウイルスベースの形質移入が他の細胞宿主に対して使用されうる。一般にはSambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Press, 2版, 1989)を参照。哺乳動物細胞を形質転換させるために使用される他の方法は、the use ofポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔法、及びマイクロインジェクションの使用を含む(一般には、上掲のSambrook等を参照)。トランスジェニック動物の生産に対しては、導入遺伝子を受精した卵母細胞中に微量注入することができ、又は胚性幹細胞のゲノム中に導入することができ、かかる細胞の核を除核した卵母細胞中に移すことができる。] [0100] 重鎖及び軽鎖を別個の発現ベクターにクローニングしたとき、ベクターを同時形質移入して発現させ、インタクトな免疫グロブリンのアセンブリを得る。ひとたび発現されると、全抗体、個々の軽鎖及び重鎖、又は他の免疫グロブリン形態を、硫酸アンモニウム沈降、アフィニティカラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動等(一般的にはScopes, Protein Purification (Springer- Verlag, N.Y., (1982)を参照)を含む当該分野の標準的な手順に従って精製することができる。少なくとも約90から95%の均一性の実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、98から99%又はそれ以上の均一性が、薬学的用途のため、最も好ましい。] [0101] コンストラクト 本発明はここに記載のポリヌクレオチドを含む核酸コンストラクトを更に提供する。 典型的には、コンストラクトは、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの適切な宿主中における発現を可能にする発現ベクターである。コンストラクトは、例えば次のものの一又は複数を含みうる:宿主中で活性なプロモーター;一又は複数の調節配列、例えばエンハンサー;複製起点;及びマーカー、好ましくは選択可能マーカー。宿主は真核生物又は原核生物宿主でありうるが、真核生物(特に哺乳動物)宿主が好ましいであろう。適切なプロモーターの選択は明らかに使用される宿主細胞にある程度依存するが、ヒトウイルス、例えばHSV、SV40、RSV等からのプロモーターを含みうる。数多くのプロモーターが当業者に知られている。 コンストラクトは、3つの軽鎖高頻度可変ループ又は3つの重鎖高頻度可変ループを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含みうる。あるいは、ポリヌクレオチドは、3つの重鎖高頻度可変ループ及び適切な長さの適切に可動性のリンカーによって結合させられた3つの軽鎖高頻度可変ループを含むポリペプチドをコードしうる。他の可能性は、単一のコンストラクトが軽鎖ループを含むものと重鎖ループを含むものの2つの別個のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含みうることである。別個のポリペプチドは独立に発現され得るか又は単一の共通のオペロンの一部を形成しうる。] [0102] コンストラクトは、一又は複数の調節特性、例えばエンハンサー、複製起点、及び一又は複数のマーカー(選択可能等)を含みうる。コンストラクトは、プラスミド、酵母人工染色体、酵母ミニ染色体の形態を取り得、又はウイルス、特に弱毒ウイルス又はヒトに対して非病原性の類似物のゲノムの全て又は一部に組み込まれうる。 コンストラクトは、哺乳動物、好ましくはヒトの患者に安全に投与するために簡便に製剤化されうる。典型的には、それらは複数のアリコートで提供され、各アリコートは少なくとも一の正常な成人ヒト患者の効果的な免疫化のために十分なコンストラクトを含む。 コンストラクトは液体又は固形形態で提供され得、好ましくは、使用前に滅菌された水が典型的には再水和させられる凍結乾燥粉末として提供される。 コンストラクトは、コンストラクトの投与に応じて(例えば特異的抗体力価によって測定して)患者の免疫応答を増大させる効果を有するアジュバント又は他の成分と共に製剤化されうる。] [0103] ベクター 「ベクター」なる用語は発現ベクター及び形質転換ベクター及びシャトルベクターを含む。 「発現ベクター」なる用語はインビボ又はインビトロ発現可能なコンストラクトを意味する。 「形質転換ベクター」なる用語は、該種のものであり得、又は異なった種のものでありうる一実体から他の実体に移され得るコンストラクトを意味する。コンストラクトがある種から他の種へ移され得る場合、例えば大腸菌プラスミドから細菌、例えばバシラス属に移される場合、形質転換ベクターはしばしば「シャトルベクター」と呼ばれる。それは大腸菌プラスミドから植物のアグロバクテリウムへ移すことができるコンストラクトでさえありうる。] [0104] ベクターは、本発明で包含されるポリペプチドの発現をもたらすために以下の記載の適切な宿主細胞中に形質転換されうる。よって、更なる態様では、本発明は、本発明で使用されるポリペプチドを調製するための方法であって、上に記載の発現ベクターで形質転換され又はそれが形質移入された宿主細胞を、ポリペプチドをコードするコード配列のベクターによる発現がもたらされる条件下で培養し、発現されたポリペプチドを回収することを含む方法を提供する。 ベクターは、例えば複製起点、場合によっては上記ポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター及び場合によってはプロモーターの制御因子を有するプラスミド、ウイルス又はファージベクターでありうる。 ベクターは当該分野でよく知られている一又は複数の選択可能なマーカー遺伝子を含みうる。] [0105] 宿主細胞 本発明は、ここに記載のポリヌクレオチド又はコンストラクトを含む宿主細胞−例えばインビトロ宿主細胞−を更に提供する。宿主細胞は、例えば細菌、酵母又は他の真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、又は哺乳動物細胞でありうる。 本発明は、本発明に係るポリペプチドを製造するように遺伝子操作されたトランスジェニック多細胞宿主生物をまた提供する。生物は例えばトランスジェニック哺乳類生物(例えばトランスジェニックヤギ又はマウス株)でありうる。] [0106] 大腸菌は使用することができる一原核生物宿主である。他の微生物宿主は、桿菌、例えばバチルス・スブチリス、及び他の腸内細菌科、例えばサルモネラ、セラチア、及び様々なシュードモナス種を含む。これらの原核生物宿主には、典型的には宿主細胞と適合性がある発現制御配列(例えば複製起点)を含む発現ベクターを作製することができる。また、任意の数の様々なよく知られたプロモーターが存在し、例えばラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、βラクタマーゼプロモーター、又はファージλからのプロモーター系ある。典型的には、プロモーターは、場合によってはオペレーター配列と共に発現を制御し、転写及び翻訳を開始させ完了させるためのリボソーム結合部位配列等を有する。 他の微生物、例えば酵母を発現に使用することができる。サッカロミセスは好ましい酵母宿主であり、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列等を所望に応じて有する適切なベクターを含む。典型的なプロモーターは、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及び他の解糖酵素を含む。誘導性酵母プロモーターは、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロムC、及びマルトース及びガラクトース利用の原因の酵素を含む。]
权利要求:
請求項1 C型肝炎ウイルスE2タンパク質又はその抗原結合断片に結合するヒト化抗体であって、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、及び配列番号:18からなる群から選択される可変重鎖ドメインを含むヒト化抗体又はその抗原結合断片。 請求項2 C型肝炎ウイルスE2タンパク質又はその抗原結合断片に結合するヒト化抗体であって、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:19,及び配列番号:20からなる群から選択される可変軽鎖ドメインを含むヒト化抗体又はその抗原結合断片。 請求項3 ヒト化抗体又はその抗原結合断片が、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:19、及び配列番号:20からなる群から選択される可変軽鎖ドメインを含む請求項1に記載のヒト化抗体又はその抗原結合断片。 請求項4 その抗原結合断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片。 請求項5 請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片の可変重鎖ドメイン及び/又は可変軽鎖ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸。 請求項6 核酸が、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、及び配列番号:40からなる群から選択される一又は複数のヌクレオチド配列を含む請求項5に記載の核酸。 請求項7 請求項5のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含んでなる核酸。 請求項8 請求項5の核酸を含むベクター。 請求項9 ベクターが可変重鎖ドメイン及び/又は可変軽鎖ドメインをコードする核酸に作用可能に結合した発現コントロール配列を更に含む請求項8に記載のベクター。 請求項10 請求項8のベクターを含む組換え細胞。 請求項11 細胞が真核生物細胞である請求項10に記載の組換え細胞。 請求項12 真核生物細胞がCHO細胞である請求項11に記載の組換え細胞。 請求項13 ヒト化抗体又はその抗原結合断片を製造する方法であって、請求項5の核酸を含む組換え細胞を、コードされる可変重鎖ドメイン及び/又は可変軽鎖ドメインが細胞によって発現されるように増殖させ;発現されたヒト化抗体又はその抗原結合断片を回収することを含んでなる方法。 請求項14 回収したヒト化抗体又はその抗原結合断片を単離し、及び/又は精製することを更に含む請求項13に記載の方法。 請求項15 請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片と薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含有する薬学的組成物。 請求項16 請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片と、該ヒト化抗体又はその抗原結合断片を投与するための指示書を含んでなるキット。 請求項17 ヒトにおけるC型肝炎ウイルス感染を治療又は予防するための方法であって、請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片の有効量を投与することを含む方法。 請求項18 その抗原結合断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、scFv、Fv、及びダイアボディからなる群から選択される請求項17に記載の方法。 請求項19 C型肝炎ウイルス感染が急性C型肝炎ウイルス感染である請求項17に記載の方法。 請求項20 C型肝炎ウイルス感染が慢性C型肝炎ウイルス感染である請求項17に記載の方法。 請求項21 C型肝炎ウイルス感染の治療がウイルス負荷を低減させることを含む請求項17に記載の方法。 請求項22 第二治療剤を投与することを更に含む請求項17に記載の方法。 請求項23 C型肝炎ウイルスに対して請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片の中和活性の効能を改善又は亢進させる薬剤を同定するためのアッセイ方法であって、(a)試験される薬剤に上記ヒト化抗体又はその抗原結合断片を接触させ;(b)該薬剤がC型肝炎の感染力を中和するヒト化抗体又はその抗原結合断片の効能を改善又は亢進させるかどうかを決定する工程を含むアッセイ方法。 請求項24 請求項23に記載の方法によって得られた又は得ることができる薬剤。 請求項25 試料中のC型肝炎ウイルスの存在又は不在を決定する方法であって、請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片の使用を含む方法。 請求項26 請求項3のヒト化抗体又はその抗原結合断片に患者の試料を接触させる工程を含む請求項25に記載の方法。
类似技术:
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